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胸の中で渦巻く想いとは裏腹に、
「章大さんも、
芸妓さん、お好きなんですか？」
口をついて出たのは、
そんな突拍子も無い言葉やった。
「・・・お嬢様？」
やはり、章大さん、
鳩が豆鉄砲食らったみたいに、
ものすごく驚いた顔してはる。
「先程の餡蜜屋さんで、
章大さん、芸妓さんに見惚れてはったから。
てっきりお好きなんかと思うただけです」
「なんや、そんなこと、ありません」
白々しい、とぼけはるから。
「そんなことありました。
大ありでした。
舞妓さんたちの色香に、
ポカーンとしてはりました」
また、感情的になってしもて。
後悔したけど、後の祭り。
ほんまに恥ずかしい。
もう、章大さんの顔、見られへん。
俯いてる私の元へと、
章大さんが、ゆっくりと戻って来はった。
「そら、男やから。
艶やかな色には、
瞬間、目を惹かれます。
けどそれだけです。
僕は、花街界隈のおなごには、
露ほども興味はありません」
言い含めるような、
その響きは、
私を甘やかしてるように、感じさせる。
「それは、ほんま、ですか？」
「男に二言はありません」
わざと、大仰に言うた後、
章大さんが、優しく、笑わはった。
「Aお嬢様、これで安心しはりましたか？」
「はい」
「夕刻はまだ冷えます。
はよ戻らんと。
風邪でもおめしになったら、大変です」
章大さんが、ほんの短い木の橋を歩き出す。
章大さんの袴の背中は、広くて、
少し後を歩きながら、
ひとり勝手に、逢瀬の気分を味わう。
私、はしたないことを言うてしもうたんやろうか。
章大さんはずるくて、
優しいお人や。
私の恋心を、
きっと悟らはったのに、
何知らぬ風を装って・・・
けど、今はこれだけで充分に幸せ。
私が想うほどに、
章大さんにも愛されたいなんて、
それを望んだら、
きっと天罰が下る。
そんな気がするから・・・
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みき(プロフ) - 昨日foolさんが話題にしてくださったので、章大さんのうつせみの〜も、また読みにきました！やはり涙が( ；-；) (2021年5月26日 12時) (
レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - 章大さんとのデート楽しかったです！お姉さんとも再会できて良かった。しかし切ない姉弟の道のり。お姉さんも幸せになって欲しいな。 (2019年5月24日 22時) (レス) id: 48f0771830 (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - 個人的には今の「うつせみの…」が好きです♪ (2019年5月24日 12時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃ岡ちゃん(プロフ) - 完全な恋人。は、このお話に追いついてすぐに読みました！！！笑 foolさんの短編集ってオチが凝られてて難しくて理解できない時とかもあるんですけど、何度も読み返してちょっとずつ理解していきます♪ (2019年5月24日 3時) (レス) id: 33dffdafbe (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - 想いが通じて良かったー。章大さんが予想外の男らしい行動で引っ張ってくれるので、着いていきます。 (2019年5月21日 22時) (レス) id: 48f0771830 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2019年5月7日 15時
