【オリジナル】白き夜、星屑の空。 (ページ14)

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年初めは想定外から 1 ページ14

＿＿1月1日。お正月といえば初詣だ。ならば皆で神社に行こう。
なんて言った人がいたのだが、果たして、その当の本人は一体何処にいるのやら。
電話をかけてみても、ただ無機質にコールが鳴り響くだけで、一向に出る気配はない。
｢なに、もしかして出ない感じ？｣
一言も発さずに電話を切ると隣で一緒に言い出しっぺを待っていた先輩が訊ねてきた。
｢そうですね｣
珍しいといえば珍しい。あの子は約束をすっぽかすようなタイプではないのだから。
それならば、何かあったのではないかと思うのは至って当然のことである。とは言ってもあの子のことだからどうってことないに違いない。
｢あの子は無駄にタフネスなので事故とかありえませんし｣
｢君のあの子に対する評価はそれでいいの｣
｢問題ありません｣
10年以上の付き合いとなればそうなってしまう。
昔からよく怪我をしていたのになぜか大きな病院のお世話になるような壮大な怪我は1度もしていなかった。どれだけ大きなことに巻き込まれようともあの子だけはけろりとしていた。今思えばあれはバケモノの類なのではないかとゾッとしてしまいそうなものだ。
｢待ってても仕方ありませんし、もう先に行っちゃいます？｣
｢そうしよっか｣
先輩は苦笑いを浮かべて、ほら、と手を差し出し、
｢はぐれたら大変でしょ？｣
と、さも当たり前のように私の手を取り指を絡めてきた。これが俗に言う恋人繋ぎというものなのか。
外気に晒されて寒いはずの身体は照れ臭さから体温が急上昇したような気がする。嬉しい、恥ずかしい、どうしよう。ありとあらゆる思考がぐるぐると忙しなく回っていく。
ニヤけそうになる顔を隠すようにマフラーに鼻まで埋めたとき、空いた右手に持った携帯が小さく着信音を鳴らした。