夏の自販機 ページ20
…消えてしまったのなら仕方がない。
私は、考えることを諦めもう一度160円を自販機に流し入れ、カルシス水を押す。
ｸﾞｼｬｯ
…なんの音だよ。
有り得ない音がして取り出し口を見れば先程のようにカルシス水はない。
何処にあるんだ…
高校生にとって、320円は大きい損失だ。
自販機の周りをぐるぐる回ってカルシス水を探す。
「……無い。」
辺りを幾ら探しても、自販機の下を覗いても、何処にもない。
探してない所…探してない所…
頭がおかしくなりそうな程にカルシス水の行方を考えること数分。
まさかとは思って探していなかった場所を思い出した。
しかし、それが本当ならば先程までの行動が馬鹿馬鹿しくなる。
私は、恐る恐るその場所を開いた。
「…何で釣り銭の所にあんだよ！？」
カルシス水は少し形が変形して、そこに存在していた。
あまりにも可笑しな状況に頭がクラクラする。
イライラと馬鹿馬鹿しさで暫く呆然としていた。
しかし、喉の乾きには耐えられない。
貴重な水分が毛穴から吹き出して汗となり地面に新しい染みを作る。
かれこれ水を補給してから30分は経っただろう。
私は、カルシス水をどうにかして取り出し、
二本のうち先に買った方を一気に飲み干した。
「…甘ったる！？」
あまりの甘さに噴き出しそうになった。
今日は散々だわ…
そんな風に私が1人鬱としていた所に
「ごめーん！寝坊したんよぉー！」
涼し気な服に身を包んだ彼奴が駆けてくる。
私は呆れたようにペットボトルを2本持ち棒立ちする。
すると、彼奴は…いや、今は此奴か。
まぁ、此奴は私を見てこう言ったのだ。
「…甘酒なんて持って何してるの？」
「はぁ？」
スッキョントンな声を上げ手元を見れば甘酒が私の手には二本握られていた。
自販機を見てみるといつも通りの沢山の種類が並んでいる…もちろんきちんと。横倒れているものなど一つもなく規則正しく。
その後私は此奴に全てを話し、病院に連れていかれたが何の異常も無かった。
後日のニュースによると、私の様な状態になった人がその日の午前中に数件あったらしい。
その理由は、今も誰も知らない。
write:雪奈
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恋花-renka-(プロフ) - 7さん» すいません。ありがとうございます直しておきます！、 (2017年10月15日 16時) (
レス) id: a7985c3076 (このIDを非表示/違反報告)
紅緋(プロフ) - 7さん» 誤字訂正についてのお知らせ、ありがとうございます。作者に言っておきますね。 (2017年10月13日 23時) (レス) id: f5f16bb771 (このIDを非表示/違反報告)
7 - ファンファーレに乗せて。の「まじか」は「まぢか」ではないでしょうか？漢字に変換しますと「間近」となりますので……。 (2017年10月13日 23時) (レス) id: edc28a4a4f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
