8日目 ページ10
さて、走り出したは良いが……一刻も早く前列へと行きたい。
「A、あいつ……」
「ああ、そうだな。 これ以上の彼奴との接触は出来るだけ避けたい……早く行こうか」
オレの提案に、頷けば動かす足を速めるロクサス。
それに負けじとオレも速度を上げようとするが……気が付けば、背後に嫌な気配を感じた。
「ねぇ、キミ達♤」
「「！！」」
その声に咄嗟にキーブレードを手に持てば、オレは無意識にでも走るスピードが更に上がる。
「な、何だよ……！」
ロクサスもキーブレードを出し、オレについて行きながらも警戒態勢に入った。
「そう警戒しないでよ♡ 今はキミ達に手を出すつもりは無いから♢」
目を細めて笑う其奴の言葉はどうにも信用出来ない。
……殺気が漏れているその状態で、警戒しない方が無理な話だ。
「……何の用だ」
「少し気になっている事があってさ♤ その手に持っている鍵みたいな物なんだけど……♢
最近、アジトに侵入して来た子達と同じ物を持っているからね♤」
……やはり、気付いている。
「……オレ達には関係の無い話だ」
その言葉を合図に、ロクサスと一斉に駆け出す。
此奴は強敵だ。 戦いは極力避けるべきだと判断した。
「残念♡ 逃げ切れると思うのかな♧」
オレ達も周りを追い抜かす程には走っている筈だが、それでも尚距離は離れない一方だ。
……こうなったら
「ロクサス、此処はオレが囮になる。
お前は試験官について行け。後で合流しよう」
今の所、実力はロクサスよりも上なんだ。だとしたら、オレが囮になる方が時間は稼げるだろう。
「……うん、わかった」
……物分かりが良くて助かるな。
そうしてオレは立ち止まり、キーブレードを其奴に向けて構える。すると、其奴も立ち止まった。
「……確かに、あの時居たのはオレ達だ」
ロクサスが先を走るのを確認すれば、フードを外して顔を現す。
「そうか♤ くく……やっぱりそうなんだね♢
んー……♧ 良いね、キミ♡」
「……近づくな。その次第排除するぞ」
構えを崩さず、静かに睨んでいれば……暫くして、突如この場所に武器を構えた他の人間がやって来た。
「そこまでだ！」
そして、其奴らは道化師を取り囲む。
最初は何だ、とは思ったが……聞けば霧に紛れ、試験の妨げとなりそうなこの道化師を排除しようという魂胆らしかった。
人数が多ければ倒せると言う訳でも無いのだろうが……丁度良い。利用させて貰うぞ。
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作者名：レフト | 作成日時：2017年5月27日 19時
