5日目 ページ7
___試験当日となった。
ある程度情報を掴み、試験会場まで辿り着いたオレとロクサス。
「ハイ、番号札です」
緑色の何かよく分からない生物から番号札を貰い、目立たぬように隅へと移動した。
辺りを見るに、まだ人数は少ないようだ。
「試験会場が定食屋からって……」
「恐らく、少しでも人を減らす為だ」
この島だけでも受験希望者は数え切れない程にいた。そんな輩が全員この会場へと入りきる訳が無いしな。
そんな会話を終え、フードを深々と被って静かに待機していれば、何やら胡散臭げな男が此方にやって来た。
「やあやあ、お二人さん」
「何だ？」
顔を上げて反応したロクサスに、その者は貼り付けたような笑みを浮かべてはべらべらと喋り始める。
「おれはトンパってんだ。
君達は今年初めて受けた新人だろ？ 仲良くやっていこうぜ！
あ、これお近づきの印に……」
流れる仕草でトンパという男は鞄から飲み物を出すと、此方に差し出してくる。
「……いらない、此方に関わるな」
「おれもいらない……」
しかし、きっぱりと断ったというのに引き下がろうとしないその男。
痺れを切らし、魔法でその飲み物の缶を燃やせば、忽ち其奴は悲鳴を上げて逃げて行った。
「……あまり関わりたくないものだ」
「うん」
そう発言した矢先、一難去ってまた一難……と言うべきか。
「うわー、スッゲー！ 今の何？」
今度は銀髪の少年が此方を興味津々に見ていた。
「……何でもない。 オレ達に関わらないでくれ」
「えー、ケチだなー。 別に良いじゃんかー」
遠ざける様にするも、少年は中々引かない。
……と、その時幸運な事に大きなブザーが鳴り、試験が始まった様だった。
「歩くのか？」
「……如何だろうな」
試験官の説明によると、如何やら二次試験会場までついていくだけで良いらしい。
……まあ、クリア出来るだろう。
「なーなー、名前何ていうの？」
オレとロクサスが走り出しても何故かついて来る少年。ああ、面倒臭い。
「……オレはA、此方がロクサス。
これで良いだろう」
名前を教え、直ぐにそっぽを向く。
「ふーん、そっか……オレはキルア。
さっきの事も気になるけどま、仲良くしていこーぜ。」
「‥…仲良く……」
少年……キルアは「じゃ、またな」と此方に手を振れば、人混みに紛れて去って行く。
……頼むから、これ以上オレ達に関わらないで欲しいところだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レフト | 作成日時：2017年5月27日 19時
