36日目 ページ38
「Aっ!」
「何を……!」
此方に近付いて来た次第、女性はオレの頰に手を触れた。
思わず身を引こうとするも、それもままならずその女性が告げる。
「そう警戒しないで、可愛い坊や……ちょっと質問するだけよ。
……一つ目。あなた達は念能力を持っているの?」
本当に質問するだけか……?
それなら、と正直に答えようと思う。
「……持っている」
「あら……正直に言ってくれて嬉しいわ。
じゃあ二つ目ね。 あなたはどんな念能力を持っているの?」
……どんな念能力?
「オレはまだ、念能力の本質を存じてはいない」
「そう……じゃあ、その魔法や突然出てくる鍵みたいなのは?」
……何故、この女性はその事を知っているんだ。
「その」という言い回しはまるで見た事があるかの様だ。しかし、オレは一度たりとも会った覚えは無いぞ。
そんな思考が巡っていて、答えるのを忘れていた。
魔法やキーブレードは……
「元からだ」
「……ッ!……分かったわ、じゃあ最後の質問ね。
あなたは一体何者なの?
いえ、そこにいるあなたもそうね」
言い淀んだ様子を見せるその人に、オレの何か嫌な記憶を探られた感覚がして、思わず鳥肌が立つ。
哀れな者を見る様な視線から目を逸らすと、ロクサスが不安そうに此方を見ているのが視界に入った。
「……その質問には答え兼ねる」
「……っ分かったわ。質問は終了よ。
答えてくれてありがとうね」
その女性は少し微笑んでオレから離れると、男の方を振り向いては伝える。
「……駄目だわ。多分、この子達記憶が無いのよ。
最近の事しか分かりはしないわ」
記憶が無い? あの時の探られた感覚はまさか……
「そうか……記憶が無い、か。
念能力とは別の力を持つ子供達……実に興味深い。
なあ、君達……名前を教えてくれないか?」
その場から動かず、じっくりと此方を見据える男。
「……Aだ」
「ロクサス……」
「……A……ロクサス、だな。
じゃあ、A、ロクサス___」
その男が何かを言い掛けた時に……突然、窓からハートレスが割り入って来た。
「うおっ!!何だあいつら!」
「……丁度いいな。力試しにアレを倒して来てくれないか?」
ハートレスとは初めて対面したらしく、リーダー以外の者達は警戒態勢に入る。
力試しが何か知らないが、これはミッションだ。
「ロクサス」
「ああ」
オレ達はキーブレードを出し、次々と窓から入ってくるハートレスを倒しに行った。
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作者名:レフト | 作成日時:2017年5月27日 19時