2日目 ページ4
「A、どうする……？」
「……待っていろ、今考えている」
捕らわれたオレ達は拘束は解かれたが、周りを囲まれて撤退が不可能に近い状況だ。
……拘束を解いたのも此方に勝ち目がないとわかっているからであろう。
「考えても無駄だと思うよ？ どうせ何にも出来ないしね」
黒髪の眼鏡を掛けた者がオレの近くにしゃがめば、表情も変えずそう告げた。
「……んで、コイツらの始末はどうすんだ？」
「もう少しでリーダーも来るだろうし、リーダーに決めて貰お。」
……リーダー？ まだ此処には人間がいるのか。
オレ達が捕らわれた後も、続々と人間が来たが……これは時間が経てば経つ程に如何しようも無くなってしまう。
「……こうなったら」
「……A？」
神経を集中させ、[色]を変化させる。
これはあまり使いたく無いのだが……こうなってしまっては仕方がない。この撤退戦に勝利しなければ。
「……ふふ」
「……何で笑って___」
感情と共に能力を発動する。
すると、今の状況には見合わない笑いの衝動がオレを染めていく。この静かな空間に笑い声が反響すれば、オレは徐ろに立ち上がったのだった。
「……ふっ、ははは……！
……残念だったな、アンタら」
「……は？」
恐らく、茶色の気がオレを纏っているのであろう。耐えきれない笑いを洩らしながらも、オレは手を上に掲げる。
それは、嘲けの色。
茶色は___時間だ。
「撤退させて貰う」
声を張って宣言をすれば、それと同時にオレとロクサス以外の時間は停止した。
「と、止まった……」
「はっ……ザマを見ろ。 行くぞロクサス」
「あ……う、うん」
よく聞く様な台詞を吐けば、戸惑っているロクサスを引き連れて闇の回廊に歩み入る。
そして、その入り口が閉じたと同時に時間は動き出した。もっとも、闇の回廊の中ではその確認はしようがないが。
色も元に戻れば、気分の急激な降下によりオレは忽ち頭を抱える。
「……だから嫌なんだ。
何故性格まで変わるんだ、この属性は……」
「……でも、助かったしいいと思う」
そんなオレに、ロクサスはフォローするかの様に声をかければ、何故かオレの頭を撫で始める。
そういう問題ではないんだ。
「別に落ち込んでなどいない。離せ。
……兎に角、今度こそまともな場所に繋げておいた。調査を続けよう」
「そうだな」
手も離され、歩み始めれば徐々に道が拓ける。
「……大丈夫、だな」
今度は、人気の無い路地裏へと出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レフト | 作成日時：2017年5月27日 19時
