28日目 ページ30
[ただ今をもちまして、第4次試験は終了となります。受験生のみなさん、すみやかにスタート地点へお戻り下さい]
島中全体にスピーカーの音が響き渡る。
「……やっとか」
何だか待ち遠しかったこの時に、上を見上げ溜息を一つ吐いた。
「A、戻ろう」
「ああ」
ゆっくりと立ち上がると、先に立っていたロクサスに手を引かれる。
「わざわざ手を繋ぐ必要は無いだろう」
「いいんだ。オレはAと一緒に行きたいよ。
Aを狙う奴からAを守らないと……絶対に、絶対に……」
「……ああ、そうか」
小さな声でブツブツと呟き続けるロクサスに、適当な返事を返す。
ご覧の通り……ロクサスは「Aが心配だ」なんてて言っては、近付く者を悉く消し去ろうとする危険思想の持ち主へと進化した……寧ろ退化か？
如何してこうなったんだ。
しかも、念の修行を続けていた為、普通の者では止める事はほぼ不可能な位置に達している。
これから人が集まる場所に行くというのに……
「おっ！お前ら試験合格……ッ！！」
「ロクサスッ！ 止まれ！」
キーブレードを片手にキルアに突っ込んで行きそうだったロクサスを繋がれた手で引っ張る。
……何だこの暴れる犬をリードで制止させる様な感覚は。
「だって……！」
「この試験は終わった。意味もなく襲って来る奴なんぞ早々いない」
繋いでいる手を強めてオレが説き伏せる様にすれば、ロクサスは少し落ち着いた。
「……どうしたんだ？ ソイツ」
「……よく分からないが、オレが毎度厄介ごとに巻き込まれる所為でこうなってしまった」
「へ、へー……」
苦笑いを溢すキルア。正直オレもそんなところだ。
暫くロクサスが暴れないように見ていれば、残った全員が集まったらしい。
……兎に角、さっさと進めて欲しいものだ。
___飛行船
飛行船に乗ってしばらく経った時……面接試験を始めるというアナウンスが流れた。
そして、オレの番号が呼ばれる。
「A……」
「……そう落ち込むな。直ぐに終わるだろう」
手を掴まれて離れられなかったところを、そう告げては頭を撫でるとロクサスは渋々と手を離した。
それにて解放された感覚があるのは、やはりロクサスも徐々に彼奴らに近付いている、という事なのだろうか。
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作者名：レフト | 作成日時：2017年5月27日 19時
