22日目 ページ24
そう念じると同時に、オレの周りを底の見えない闇が覆う。
「……闇は、何もかも塗り潰す存在」
視界が開け、確認出来るのは三人の此方へ向ける視線。
黒は闇だ。 闇の力は良く役に立つ。
手を上に翳し、この空間の光を全て闇に染める。
要するに、この空間は暗闇に包まれたという事だ。
「此方だ」
「「！！」」
暗闇に乗じて二人の背後に回り込み、キーブレードで叩き払う。それにて怯んだのが確認できた。
「闇に溶けた存在は認識不可能。
念能力を持ってしても、オレの存在は貴様等に見える事はない」
そう告げれば、すかさず暗闇で一緒になって見えていないロクサスの所へ駆けて行く。
「オレは貴様等を排除する気は無い。行くぞ」
「わっ、A！」
ロクサスの手を掴み、黒の効果でより早く拡がる回廊へとすぐ様入り込んだ。
___外
「うわっ……て、外？」
「……はぁ。ああ、そうだ」
外に出た所で解除し、黒が混ざった色も元に戻す。
すると、どっと疲れがオレを襲った。精神的に疲労しているらしい。
「……A」
不意に、ロクサスがオレの名前を呼び手元を見つめる。
……ああ、そうか。
「すまない」
脱出したあの時に手を掴んだままだった事に気が付き、手を引こうとする。
「……何故離さないんだ」
すると、ロクサスは何故かオレの手を握ったまま離さなかった。
「……もうちょっと、このままでいいか？」
「……？ まあ、お前の気が晴れるなら良いが」
ロクサス自身も何故この様な発言をしたのかは理解出来ていないらしい。彼の動揺が見て取れる。
……よく分からないが暫くの間、オレ達は手を繋いだままだった。
「……オレ達って前にどっかで会ったか？」
暫く歩いた場所で共に座り込んでいれば、空を見上げているロクサスが不意にそんな質問をしてくる。
その発言にオレはロクサスに視線を向け、海で輝く光に目を移した。
「……さあな。オレには記憶が無いので判らない」
答えれば、此方に移る光を遮断する様にゆっくりと目を閉じる。
___なあ、___。綺麗だな、光って。
___そうだなー……と言っても___！ オレ達もあんな存在になんなきゃいけないんだぞ！
……この者達は一体誰なのだろうか。
自然とオレの脳裏に浮かんできた、断片的な記憶の様なもの。
其処に映るのは……笑顔を湛える茶髪の少年と、何処かオレに似ている見知らぬ少年が、今と同じ様に景色を眺めて座っている姿だった。
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作者名：レフト | 作成日時：2017年5月27日 19時
