15日目 ページ17
「あ……！ A、どこ行ってたんだよ！」
再び飛行船へと戻ると、其処にはロクサスが居た。
オレを必死に探していた様で、オレを見つけたロクサスは心なしか怒っているような、悲しんでいるような表情を浮かべている。
「基地に戻ってレポートを書いていただけだ」
「そっか……だったらオレにも言ってくれれば……」
そして、次に落ち込み出したロクサス。
今回は特に感情の振り幅が激しいな……いつもは呆けてばかりなのに。
「……すまない。次からは言うようにする」
そう告げても、ロクサスの様子は元に戻らない。
ロクサスも時々おかしくなる時がある。
こうなると面倒だ……しかし、此奴のツボが分からないので如何しようもない。
暫く解決法を探していれば、飛行船内にアナウンスが響く。
[皆様、大変お待たせいたしました。
目的地に到着です]
如何やら、次の試験会場へと着いたらしい。
「……着いたぞ。 気を引き締めろ」
「……ああ」
頭をポンポンと叩いて進めば、若干不貞腐れていたロクサスも少しは機嫌を直した様で、共に歩み始めた。
___塔の頂上
オレ達が降ろされたのは、唯々高くだだっ広い何も無い塔。何だろうか。
この光景に受験者が疑問を持っていれば、協会側の人物からルール説明がなされた。
制限時間72時間以内に生きて下まで降りてくる……というのが今回の試験の内容。
つまり、この塔の頂上から、下方にうっすらと見える地面へと行けば良いという事だ。
……こんなもの、回廊を使えば容易いな。
試験がスタートし、早速回廊を開こうとする。
すると、間も無く近くで声が聞こえた。
「ん？ 何だこれ……うわっ！」
すかさず其処へ顔を向ければ、視界に映るのは落ちていくロクサス。
早くもロクサスは、回転する隠し扉をうっかり踏み込んでしまった様だ。
「……何をやっているんだ」
思わず頭を抱える。しかし、仕方が無いと割り切ったオレは「扉を探す事にしよう」と、開きかけた回廊を閉じた。
「___これか」
探そうと思えば案外、簡単に見つかった。
幅を見れば、一人が通れる程の回転式の扉。恐らく、これを降りたとしてもロクサスとは直ぐに会えないとは思う。
しかし、放っておく訳にはいかないんだ。
ロクサスを追い掛けるべく、オレもその扉を潜った。
___地面へと着地をすれば、目の前にいる其奴を睨みつける。なんて最悪なんだ。
「やあ♤」
「貴様……」
よりによって、此奴と居合せるとは。
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作者名：レフト | 作成日時：2017年5月27日 19時
