【男主】家出息子の旅路録 3【ONE PIECE】 (ページ7)

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「う……撃てェ！」

「……問答無用か」

目を向けたその瞬間には、怖気付きつつも其奴らは此方に銃を構え、逡巡しながらも引き金を引く。
俺も全弾掴んでやろうと構えたが……その途端、何故か全員の銃が暴発し、発射される事は無かった。

「ヨホホ！おや、手助けは御無用でしたか！」

「いや、助かった。ありがとう」

それを引き起こしたのは、麦わらの一味である背の高い骸骨___ブルックで。
彼のお陰で戦況は暫く穏やかになり、俺達は初めて二人で会話を交わす。

「お前は寒さを感じないんだな」

「肌が有りませんからね！
Aさんこそこの猛吹雪の中、よく平気な顔をしていらっしゃいますね」

「俺は気温に鈍感なだけだ。さて、彼らだが……」

ルフィ達の方を向けば、凍えながらも何かを相談している様子が見える。
まあ、会話は筒抜けなんだが。その内容はケンタウロスもどき達のどの服を剥ぎ取るか、というものだ。

彼らがそんな話をしている一方、群のリーダーらしき者が何かに気が付いた様子で、大声を上げた。

「4億の海賊麦わらのルフィだ！！」

……この姿で正体が割れるという事は、あの集団は外海とも通じているのだろうか。

おおよそ野生ではないであろう其奴らをぼーっと見つめていると、間も無くしてルフィ達が数人かのコートを剥ぎ取った。
ついでにサンジ達の居所を聴取する為にも、そのリーダーも拉致して俺達は立ち去ったのだった。

「___……別に俺は必要無いが」

「見てるだけでも寒ィから着てろ！」

俺の分まで取っていたらしい厚めのコートを、そう言われて受け取るなり、仕方なく羽織る。
現在俺達は、案外大柄な鰐足の男を無理やり走らせ、目的地へと向かっていた。

その間にも、建物があるのであろう場所から先程から大きな音が響いてきて。
見聞色で軽く先を見てみると、予想外に大人数の気配が察知出来た。

「どうしたの？」

「ああ……如何やら俺達の向かうべき場所にはまた別のトラブルがあるらしい」

徐々に近づいていけば、鮮明になっていくその群衆の正体。恐らくその大部分は海軍だ。

しかしいくら世界政府管轄の島といえど何故このタイミングなのか、と考えを巡らせていれば___不意にある人物の姿が視界の先へと入った。

黒斑の帽子を被り、刀身の長い刀を携えた男……それは彼奴しかいない。

「ロー！？」

「___！！ A……ッ！？」

彼方もまた俺がいる事を意図していなかったのか、刮目して驚いた様子だった。