【男主】家出息子の旅路録 3【ONE PIECE】 (ページ4)

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鋼鉄の様に硬い真紅の鱗は、吐き出された炎に照らされて些か明るく煌めいている。
ルフィの攻撃を堪え、更にはカウンターを見舞う其奴はそれなりに強いのかもしれないな。

他人事の様にぼんやりと考えつつも、繰り出された尻尾の攻撃を回避する。
そして、尻尾の付け根の部分まで跳躍すれば、ドラゴンが此方へ視線を移す前に片脚を振り下ろした。

「グロロロッ……！！」

ガキンッ、と肉と肉が衝突したというにはおよそ似つかわしくない音が辺りに響く。
しかしながら、特に気にする事もなく押し切れば、案外容易く尻尾が切断出来た。

すると尻尾が無くなった事に気付き、其奴は痛みを訴えているかの様な唸り声を上げると羽を広げる。
どうやら今の攻撃ですっかり物怖じしてしまったらしい。羽ばたいては逃げようとするドラゴンに、すかさず腕を伸ばしたルフィが飛び乗った。

ドラゴンの巨躯の所為かルフィの姿を視認する事は出来ない。
そして暫時見上げてそれを見守っていれば、聞こえてきたのは___ルフィの悲鳴だった。

「大変だー！！
ドラゴンの頭に人間が刺さってる～～！！」

……通例としては此処で「は？」と、一言疑問符を投げ掛けたい所だ。
しかし先程そのドラゴンから人語が発せられた事を考えれば、其処が及第点か、と妙に腑に落ちてしまった。

兎も角、今は彼らの行動を見守るとしよう。

「___"死・獅子歌歌"！！」

その後、彼らの連携プレーでドラゴンの首を落とした事にて討伐に成功した。
もう完全に動かなくなった其奴に近寄れば、確かに頭頂部分に当たる場所に人の下半身が突き刺さる様に存在していた。

……しかしこれでは話せないのではないか？

ふとそういった疑問が頭を過ぎったのも束の間___ルフィが救助にと引っ張り出そうとすれば、下半身だけが其処から離れた。

一瞬千切れたのかと思い、ドラゴンの頭に目を向けてもそんな悲惨な光景は見当たらない。
更には平然と起き上がり、忽ち走り出した其奴が、何処からか発した言葉に俺は眉をひそめる。

「……七武海？」

ルフィが[誰かの下半身]を追いかけている間、もしや、と彼の姿が脳裏に浮かんでいた。