【男主】家出息子の旅路録 3【ONE PIECE】 (ページ2)

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厚い雲に覆われた空からは雷雨が降り注ぎ、また波も怒り狂うかの様に大きな音を立てては、潮流をぶつけ合う。

天候は最悪、如何やら指針も全く別の場所を示している様だ。
それでも気楽な彼らは、新たな世界を期待と大志を抱いてその先を見つめている。

___此処は新世界。彼らにとっては最後の海だ。

見渡せば島が一つ確認出来るが、それはログポースが指すどの島でも無い。
その島周辺の海は炎で燃え盛り、島では火山が噴火している。

「……ん？確か彼処は……」

ふと、見える島について俺が何かを思い出そうとしたその時___突如、室内から喧しい泣き声が聞こえてきた。

何かと思い来てみれば、電伝虫が泣いていて。それは緊急信号だった。

そして罠だ、という仲間の制止を聞かずにルフィが受話器を取る。
いつもの様に名を告げて事情を聴取すると……サムライに斬られた、との事であった。

『誰でもいいから助けて……ここは___パンクハザード！！』

「……やはりか」

その言葉の後に電話の主はサムライとやらに斬られた様で、通話はプツリと途切れる。

パンクハザード。あの事件以来、誰も寄り付いていない筈の危険な島だ。
すると、ルフィの断固とした様子を見て、溜息を吐いた俺が気にでもなったのか、ナミが話し掛けてきた。

「ちょっと待ってレフトさん！
もしかしてあの島について知ってるの？」

……まあ……前知識は持っておくべきか。

ナミの発言で一斉に此方へ顔を向けた彼らにそんな事を考える。
そうしてゆっくりとそちらへと向き直せば……軽い説明を始めた。

「あの島は世界政府管轄の立ち入り禁止区域。
二年前に赤犬と青キジの決闘の地となった事でも有名だ」

「「海軍大将の決闘！？」」

「ああ、島があの様になっているのは二人の戦った名残だろう」

一方は灼熱の炎で土地が燃え盛り……そして一方は吹雪の止まない極寒の地になった。
更に元々あの島は毒ガスに塗れていた為、今でも多少の毒気が残っているとも聞いたな。

俺の話を聞いて慄いたであろう一味の数名が「絶対に行きたくない」とルフィに物申した。

___が、しかし……無駄だったな。

己の手に握られているのは、先端に赤い印が施されている細い紙切れ。
何故だか俺はあの島を探索するグループへと入れられた様だ。