【男主】家出息子の旅路録 3【ONE PIECE】 (ページ1)

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___０の追憶ページ1

私には、弟が四人……そして、双子の兄が一人いる。
その人はとても優れていて。化け物じみた弟達を更に凌駕する事が出来る、昔からのみんなの憧れ。欠陥が一つもない完成形だった。

だけど、父は兄さんを完璧だとは見做さ無かったの。
何故なら___あの人はとても優しかったから。
温情にありふれた、人間らしい人だったから。

だからこそ、態々弟達が誕生したの。今度は必要な感情だけ持ち合わせる様に改良してね。
結果的に、精神面では成功したわ。けれど、身体能力に関しては、まだ兄さんの方が遥かに上回っていた。
それに、三番目の弟も、母の抵抗によって普通の子として産まれたの。これに父は失望していたわ。

……兄さんは、最初は父が普通に好きだったの。父と母と私達兄妹で家族団欒ともいえるようだった。
けれど、三番目の弟___サンジが平凡だからという理由で見捨てられた事実に兄さんは激怒、以降父に対して反抗的になっていった。
逆に、父さんは兄さんが大事だったようね。
あの人が反抗的になった理由であるサンジを、どうにか引き離そうとしている姿をちらほら見かけたわ。まあ、それが兄さんに火をつける結果となってしまったけど。

……正直、私も、他の弟達も、兄さんがあの子ばっかり庇う事に嫉妬心を抱いたのは確か。子供だったから？兎に角、あの子に対しての弟達の虐めは徐々にエスカレートし、私も知らん振りをしていた。

___ある時、私は兄さんに訊いてみたの。

「何でお父さんに逆らってまでサンジを庇うの？」

すると、あの人はポカンとした表情をしては、口を開く。

「当たり前だろう、サンジも可愛い弟だ。

お前達は平等に愛すべきだと思っている。
しかし、父親があれでは俺が代わりになるしかない……もし、それが不平等だと思ったのなら、すまなかったなレイジュ」

「え？う、ううん、気にしないで」

ごめんね兄さん、私はあなたにそんな表情をさせたかった訳ではないの。
私は、少し俯いた兄さんにそう思う。
でもまあ、私は、父より兄の愛が欲しいのは確か。
その点では、私はサンジが羨ましかった。

何だか居た堪れなくなって、衝動的に兄さんへと抱きつく。いきなりでもしっかりと受け止めてくれたその人は、微笑んでは私の頭を撫でた。

「珍しく甘えるな」

「双子の私だってこうしたい時があるの。兄さんは私じゃダメ？」

「ふふ、そんな訳ないだろう。むしろ幸せだ」

なら良かった。
私もこのまま優しく包み込まれていたい。