6話 ページ8
「A〜！飯食いに行こ〜！」
大声で呼びかけるフロイドの声に、一瞬だけ教室がざわついた。
およそ五日目にして、ようやく僕もこの状況に慣れてきた。
フロイドの後ろでは、ジェイドがにこやかに手を振っている。
教室に残っていたクラスメイト達は、フロイドが五日も通い続けたことに驚いている様子である。
「お待たせ、二人とも。わざわざ教室に来なくても、食堂で待っててくれて良かったのに」
「え〜、やだ！オレ待てねぇもん〜」
「教室に来たって、待つ時は待つんだけどな……」
「貴方が居るのと居ないのとでは、心持ちが違うということですよ、A」
僕の両脇を囲うようにして、二人が隣に並んで歩く。
それなりに広い廊下とは言え、流石にこれでは幅を取ってしまうと思った僕は、さり気なく前に出た。
この流れももう当たり前のものとなりつつあるが、周囲の人からしてみれば、たった五日程度で受け入れられる光景では無いようである。
さり気なく様子を探ろうとする目。遠慮なく不躾な視線を送る人。
反応は様々だが、珍しい物を見るような態度であることには変わりない。
双子の思惑通り、僕が彼らのお気に入りであるという噂は、着々と広まっているようである。
わざわざ後ろを振り返らずとも、上機嫌で歩いているであろうことは容易に想像できた。
「あ〜、小エビちゃんじゃん」
「おや、本当ですね。こんにちは、ユウさん」
「げっ、リーチ兄弟」
「エース、その言い方は失礼だよ」
もうすぐ食堂に着く頃かというところで、フロイドが知った顔を見つけた。
────僕に限って言えば、彼女のことは一方的に知っているだけだし、両脇にいる生徒達はよく分からないのだけれど。
一緒にいる姿はよく見かけるが、名前などは全く聞いたことがない。
「こんにちは、先輩。これからお昼ですか？」
「そうだよ〜。何なら、一緒に食べる？」
「ふなっ！？そんなのお断りなんだゾ！」
「はぁ？何、アザラシちゃん。生意気言うじゃん、締めてやろうかぁ？」
「ヒェッ……じょ、冗談なんだゾ……」
随分と浅はかな思考の持ち主だと思いながら、ぼんやりと会話を聞き流す。
そう言えばこの生き物は、この前の事件の際にも、あっさりとアズールに騙されていた気がする。
その内、ジェイド達にもいいように利用されそうだと思った。
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藤川秋(プロフ) - ララーサさん» ララーサさん、はじめまして。ご指摘ありがとうございます！確認したところ、確かにフロイドの方が正解でした。完全に見逃してたのでありがたいです。感想もありがとうございます、とても励みになります！ (2020年11月23日 21時) (
レス) id: 93e3af9b0c (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - ↓の9話です！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - 僕の勘違いだったやごめんなさい。主人公とジェイドくんのやり取りで、「僕とジェイドが?」という所「僕とフロイドが？」だと思います。間違っていたらごめんなさい！あと、この物語とても面白いです！頑張ってください！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
藤川秋(プロフ) - イルカの生姜焼きさん» イルカの生姜焼きさん、初めまして。主人公は基本的に、いい子ではなく、少し人間味の欠けた人物に敢えてしようと思っていましたので、そう言っていただけるととても嬉しいです！素敵なコメントと応援をありがとうございます。 (2020年6月14日 14時) (レス) id: d1eae4f705 (このIDを非表示/違反報告)
イルカの生姜焼き(プロフ) - 18話の一番最後で主人公の"興味がないことだ"に対して凄いヴィランぽいっと思いました。上から目線になってしまいすみませんがこれからも頑張って下さい。 (2020年6月14日 11時) (レス) id: ca6db90150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤川秋 | 作成日時：2020年5月26日 15時
