28話 ページ34
約束の休日、鏡の間まで足を運ぶと、そこには既にラギーの姿があった。
下手に自分一人でサバナクロー寮に行くと、喧嘩を売られる可能性があったため、待ち合わせ場所を敢えてここにしたのである。
「いやあ、休みの日にわざわざすまないッスね」
「元はと言えば、僕が言い出したことだから。特にすることも無いし、気にしてないよ」
「そう言ってもらえると助かるッスよ。今日は一日、レオナさんの部屋をがっつり掃除するつもりなんで、よろしく」
「了解、頼まれました」
鏡を抜けて、サバナクロー寮に足を踏み入れると、眩しい日差しとカラリとした空気が僕を襲う。
元が人魚である僕は、陽の光に当てられてほんのりと体が火照る感覚がしたが、建物の中に入ってしまえばそれも気にならなくなった。
廊下を歩く度、寮生達の視線は突き刺さるが、ラギーが隣にいるおかげで客人程度には見られているらしい。
何か言いたげな表情はしているものの、彼が率先して連れ歩く僕を邪険に扱う気もないようで、そのまますれ違っていく。
寮長の世話を焼いてるから故なのか、彼の人柄なのかは分からないが、ここでの彼の立ち位置はそれなりに高いみたいだ。
おかげさまで、頼み事一つこなすのに余計な労力をかけずに済んでいる。彼との待ち合わせ場所を鏡の間にしたのは正解だった。
そうして、彼の後ろに付いたまま歩き続けると、ラギーはやがて一つの扉の前で止まった。
いきなり開けることはせずに、扉越しに中にいるであろう人物に向かって声をかけている。
「レオナさーん。昨日言った通り、掃除しに来たッスよー」
呼び掛けに対する返答は無かったが、ラギーはそれに構うことなく扉を開けた。
そのまま中に入るように促してきたので、軽く挨拶をしながら僕も失礼する。
見ると、気怠げに体を寛げながら、ベッドの上に横たわる一人の男がいた。
無造作に垂らされた長い髪は、その一部が顔の横で細く編まれている。
鋭い両の目は、眠さを表すかのように少し瞼が下がっていて、顔の左側には、瞳を突き抜けるように上から下までを一直線に細い傷跡が通っていた。
彼こそが、このサバナクロー寮の寮長であり、一国の第二王子でもあるレオナ・キングスカラー、その人だ。
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藤川秋(プロフ) - ララーサさん» ララーサさん、はじめまして。ご指摘ありがとうございます！確認したところ、確かにフロイドの方が正解でした。完全に見逃してたのでありがたいです。感想もありがとうございます、とても励みになります！ (2020年11月23日 21時) (
レス) id: 93e3af9b0c (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - ↓の9話です！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - 僕の勘違いだったやごめんなさい。主人公とジェイドくんのやり取りで、「僕とジェイドが?」という所「僕とフロイドが？」だと思います。間違っていたらごめんなさい！あと、この物語とても面白いです！頑張ってください！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
藤川秋(プロフ) - イルカの生姜焼きさん» イルカの生姜焼きさん、初めまして。主人公は基本的に、いい子ではなく、少し人間味の欠けた人物に敢えてしようと思っていましたので、そう言っていただけるととても嬉しいです！素敵なコメントと応援をありがとうございます。 (2020年6月14日 14時) (レス) id: d1eae4f705 (このIDを非表示/違反報告)
イルカの生姜焼き(プロフ) - 18話の一番最後で主人公の"興味がないことだ"に対して凄いヴィランぽいっと思いました。上から目線になってしまいすみませんがこれからも頑張って下さい。 (2020年6月14日 11時) (レス) id: ca6db90150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤川秋 | 作成日時：2020年5月26日 15時
