14話 ページ16
双子と常に行動するようになって、僕の生活は一変した。
あんなに静かだったはずの世界は、影も形もない。
今までは、僕が相手を避ける側の立場だったのに、それもすっかり逆転してしまった。
これまで、人付き合いをしてこなかったツケが回ってきたのか、何をせずとも周りの方から勝手に避けていく。
そのくせ、こちらの様子だけは気になるようで、不躾な視線だけはいくつも届いていた。
何かに怯えるような、おどおどとした目。
或いは、恨み辛みに塗り固められた視線。
そうでなければ、面白半分にちらちらとこちらを伺うような目付きが、ただひたすらに煩く付き纏う。
────でも、それすらも、時間が経てばある程度は慣れてしまった。
のらりくらりと、”そういうもの”としてその場に溶け込めてしまうのは、良くも悪くも僕の最大の特徴である。
そんな状況なので、なるべく一人きりの時間は作りたくなかったのだけれど。
(先生に手伝いを頼まれてしまえば、無碍に断れないのが僕なのでした……と)
静かにため息をつく。
奥まった場所にある教室で、ようやく手伝いから解放された僕は、少しだけ頭が痛くなった。
既に、僕一人を残してもぬけの殻となった教室は、外からの喧騒が届くこともなく静まり返っている。
現在は放課後で、ジェイドもフロイドも側にはいない。
彼らはラウンジでの開店準備があるので、後で向かう旨を告げている。
このまま居残り続けるのは危ないと、手早く帰り支度を済ませて教室を出た。
周りからどう思われようと、基本的にはどうでもいい僕だけれど、今回ばかりは楽観視できなかった。
常日頃行動を共にするのが、他でもないあの双子であることが、今の僕には大きな問題となってのしかかっている。
彼らは、多くの人間から恨みを買った、言わば悪役だ。
────それはつまり、多かれ少なかれ、報復しようと行動する者が現れるということでもある。
「おい、そこのお前。ちょっと止まれよ」
だから、こうして絡まれる。────囲まれる。
止まれと言いながら、そもそも前に進みようのない人数で、僕の目の前の通路は塞がれてしまっていた。
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藤川秋(プロフ) - ララーサさん» ララーサさん、はじめまして。ご指摘ありがとうございます！確認したところ、確かにフロイドの方が正解でした。完全に見逃してたのでありがたいです。感想もありがとうございます、とても励みになります！ (2020年11月23日 21時) (
レス) id: 93e3af9b0c (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - ↓の9話です！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - 僕の勘違いだったやごめんなさい。主人公とジェイドくんのやり取りで、「僕とジェイドが?」という所「僕とフロイドが？」だと思います。間違っていたらごめんなさい！あと、この物語とても面白いです！頑張ってください！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
藤川秋(プロフ) - イルカの生姜焼きさん» イルカの生姜焼きさん、初めまして。主人公は基本的に、いい子ではなく、少し人間味の欠けた人物に敢えてしようと思っていましたので、そう言っていただけるととても嬉しいです！素敵なコメントと応援をありがとうございます。 (2020年6月14日 14時) (レス) id: d1eae4f705 (このIDを非表示/違反報告)
イルカの生姜焼き(プロフ) - 18話の一番最後で主人公の"興味がないことだ"に対して凄いヴィランぽいっと思いました。上から目線になってしまいすみませんがこれからも頑張って下さい。 (2020年6月14日 11時) (レス) id: ca6db90150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤川秋 | 作成日時：2020年5月26日 15時
