9話 ページ11
ジェイドとフロイドは、基本的に己の望むがままに生きるタイプだ。
特に、フロイドはその傾向が顕著で、だからこそ厄介な人物でもある。
一見、周囲と調和が取れているように見えるジェイドも、実際のところは相手をうまく転がしているだけで、その本質はフロイドとさほど変わらない。
知らずにまんまと騙された人は、片手で数えられない程いる。
陸の方では、ウツボは海のギャングと呼ばれる事もあるそうだけれど、彼らに至っては実際にそのような事も行ってきた。
特に、この学校に来てからの彼らは、アズールの補佐として取立て役も担っていたほどだ。
そこまで行ってしまえば、比喩でも何でもなく、彼らの肩書きはギャングと言って差し支えない。
そんな事をしているのだから、当然の如く彼らは、周りから疎まれたり恐れられたりしている。
このまま彼らと一緒に居続ければ、その内何かしらの事件に巻き込まれるのではないかと思うくらいには、周囲の不興を買っている。
「確かに、僕の生き様とは正反対だけど……二人と一緒にいること自体は、別に嫌いじゃないよ。二人が生き生きとしてる姿を見るのは好きだから。でも、それを口煩く言う奴はいっぱいいるだろ？」
例えば、彼らの側に誰か知らない人がいたなら、僕は決して近寄らない。
アズールのように、二人の性格を受け入れた上で絡んでくれる人ならいいが、そうでない者があれこれと口出しする姿は、僕にとっては煩わしい。
だから僕は、自ら二人に近寄ることはしなかった。
二人が僕に会いに来てくれる時は必ず、二人きりで会いに来てくれる。そのことを知っていたからだ。
今思えばそれは、僕の性格を知っているからこその、二人の思い遣りだったのだろう。
「僕が綺麗だと思う二人の世界を、壊して回ろうとする奴らが二人の周りには多いから。それが嫌なだけ」
「……綺麗、ですか？僕とフロイドが？」
ぱちぱちと瞬きをしながら、目を丸くするジェイド。
流石に、そのような言葉を言われるのには慣れていないらしい。
珍しく、演技でも何でもない、素で驚いた表情をしている。
「え、うん。僕は好きだけどな、二人のその自由奔放な感じ」
「────ふふっ、そうですか。僕達も、思ったより貴方に好かれていたみたいですね」
「そうだね、自分でも驚いた」
口に出してみて、初めて気付くこともある。
僕は、僕が思っていたより、二人のことが好きみたいだ。
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藤川秋(プロフ) - ララーサさん» ララーサさん、はじめまして。ご指摘ありがとうございます！確認したところ、確かにフロイドの方が正解でした。完全に見逃してたのでありがたいです。感想もありがとうございます、とても励みになります！ (2020年11月23日 21時) (
レス) id: 93e3af9b0c (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - ↓の9話です！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
ララーサ - 僕の勘違いだったやごめんなさい。主人公とジェイドくんのやり取りで、「僕とジェイドが?」という所「僕とフロイドが？」だと思います。間違っていたらごめんなさい！あと、この物語とても面白いです！頑張ってください！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 60e0ce23dd (このIDを非表示/違反報告)
藤川秋(プロフ) - イルカの生姜焼きさん» イルカの生姜焼きさん、初めまして。主人公は基本的に、いい子ではなく、少し人間味の欠けた人物に敢えてしようと思っていましたので、そう言っていただけるととても嬉しいです！素敵なコメントと応援をありがとうございます。 (2020年6月14日 14時) (レス) id: d1eae4f705 (このIDを非表示/違反報告)
イルカの生姜焼き(プロフ) - 18話の一番最後で主人公の"興味がないことだ"に対して凄いヴィランぽいっと思いました。上から目線になってしまいすみませんがこれからも頑張って下さい。 (2020年6月14日 11時) (レス) id: ca6db90150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤川秋 | 作成日時：2020年5月26日 15時
