英雄22 ページ23
ー爆豪sideー
A 「うん。是非!」
聞こえた声の方を向けばデクに向かってにっこりと微笑んでいる
女の姿が見えた。
心底幸せそうに笑うクソ女の姿は、少しだけアイツに似ていた。
ッチ。
イラつきを舌打ちで表して
その光景に嫌気がさし、教室からでて広場へと足を運んだ。
その途中に見つけた芝にゴロンと寝転がると
どこかあの日に似た風がひんやりとほほを掠めとる
爆豪 「.....A........。」
落ち着いてから、口から漏れた言葉は
仲の良かった。好きだった幼馴染みの名前。
《かっちゃん!!》
いつもバカみたいに笑ってた。いつも、いつもだ。
そのおかげか、アイツのことを思い出すと
アイツの笑ってる表情しか浮かんでこない。
強い奴だって、ずっと思ってたんだ。
なのに。
A母 「.....勝己くん......出久くん.......A....ね。」
泣きながら俺達に話をしたAのお袋は、目が真っ赤に晴れていて
一瞬その顔とその言葉を聞いたとき思考が停止していた。
動き出した思考の中では 何もというより疑問しか出てこなかった。
なんで、なんで........何でなんだよA。
手術が終わって横たわるAの肌は、まるで血液型通ってないんじゃないかってくらい肌白い。
爆豪 「...ぉい....目...あけろよ......おい。」
何時ものように、大きな声で怒鳴ったつもりだった。
なのに、病室に響いた俺の声はあまりに、小さかった。
出久 「...かっちゃん。
あのね......Aちゃん.......自分で死のうとしたんだって....。」
さっき、警察の人がいってたとあとに続けた出久の言葉が
まるで円を描くみたいに頭の中でこだまし続ける。
信じれるわけ....ねーだろうが。
爆豪 「お前は.....そんな弱ぇー女じゃねーだろうが。」
怪我したときも、喧嘩したときも、虐めたときだって。
ずっとヘラヘラ笑っていられるような、強ぇー女だっただろうが。
爆豪 「なぁA.....。死ぬんじゃねーぞ。
まだお前には、言わねーといけねーこと 言えてねーんだ。」
呟くようにそう一言そいつを見つめながらいって
その手をぎゅっと握り締めた。
届くはずなんてない声を
必死に紡いだ。
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作者名：琴吹 白 | 作成日時：2017年9月16日 8時
