英雄17 ページ18
A 「ふふっ。・・相変わらずだなぁ・・・かっちゃん。」
緑谷 「・・・・？」
A 「私が危ないって言っても、いっつも先に行っちゃって。
本当にいつか、大きな事故起こすんじゃないかってひやひやしてたっけ・・・。」
緑谷 「・・・！」
懐かしそうにどこか遠くを眺めながら
思い出を語り始めたAはポタリと涙を流した。
目をぎゅっとつむって上を向いている姿は、もうこれ以上
涙を流すまいと必死に堪えている様にも見える。
A 「・・・やっぱり、信じてもらえないか・・・。」
緑谷 「え....ぇえーっと! あの!!
た、立花さん!!」
A 「....。」
緑谷 「ぼ、くもね。
信じたいんだよ...。 きっと、かっちゃんだって....!
でも、直ぐになんて信じられないから。
だから、さ。
何かAちゃんだって、証明できるものとかないかな？」
A 「証明.....。」
緑谷 「えっと、その、思い出のしなとか!!」
A 「.....しなって。」
そんなの、今の私が持っているわけない。
持ってたら窃盗だし。
A 「....思い出....でもいい?」
緑谷 「...? 例えば...?」
A 「...しょーもないことなんだけどね。
いっくんは知ってるでしょ？
私がかっちゃんのこと好きだったって。」
緑谷 「...!そ、だったね。」
過去形で話す彼女。
ならばもう、今は彼を思っていないのかな？
アハハと乾いた笑い声をだす彼女の目はどこか悲しげで
僕に不安げに相談してきた彼女の目とどこかにていた。
そんな彼女をほおっておけなかったのもあるけど、
やっぱり口は勝手に動いた。
聞かずになんて、いられなかった。
もし、昔と....同じだったのなら。
緑谷 「っ.....き、っかけは?」
A 「...?..ああ、好きになったきっかけ?」
緑谷 「...うん。」
A 「前にもいったけど....あんまり覚えてないんだ。
だって。
いつの間にか、好きになってたんだもん」
緑谷 「っ!! 昔と一緒だ！」
A 「?」
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作者名：琴吹 白 | 作成日時：2017年9月16日 8時
