英雄12 ページ13
ー緑谷sideー
ギラリと光に反射する鋭い瞳。
一歩でもそこから動けば、殺されそうな勢いだ。
ゴクッ
音をたて喉をならした僕
女の人が口をゆっくりと開けるその時だった。
ガサッ
皆 「!?」
真横の草影から物音が聞こえる。
A 「梅子さーん。 おーい、梅子さーん。」
控え目な高い声が響いたかと思えば
女の人はキャップをゴソッとゆらす。
もしかしたら、さっきの声に反応したんだろうか。
僕の推測が正しかったのかは、分からないが
女の人は明らかに動揺の色を瞳に写し
先程の声の主を探し始める。
そのせつな
A 「....梅....あ、見つけた。」
梅子 「A様!!?」
女の人....えっと、梅子さん?
は、声の主を見つけると、急いでその場に駆け寄った。
目に写った光景と、耳に残った声に
はっきりと言えば驚きっぱなしだ。
その人はまるで、物語からそっくりそのまま抜け出てきたかのように美しかった。
いや、そんな言葉じゃ伝わらない
そのくらい美人に見えた。
でも、それ以上に
緑谷 「(.....今、Aって。)」
女の人が知ってるはずがない僕とかっちゃんの幼馴染みの名前を
呼んだことに驚いた。
A 「.....かっちゃん?.....いっくん?」
声の人が僕の名前を呼ぶ。
瞬時に僕の体には衝撃が走った。
それは、声の人が僕の胸に飛び込んできたから。
....ん? トビコンデキタ?
A 「いっくん!!」
皆 「え"ぇ!!!?」
爆豪 「...。」
緑谷 「....っ。ちょ、あの....えっっと。」
A 「〜!」
戸惑う僕を余所に、女の人は僕の胸にグリグリと頭を押し付けてくる。
梅子 「っちょ!、あのA様!!? 私ですらその様なことしてくださらなかったのに!!
そこの君! 私にその席譲ってください。
じゃなくて、A様から離れてください！」
緑谷 「んえー!!」
(離れてって言われても)
A 「いっくん! 昨日ぶりだね!!」
緑谷 「き、昨日!?」
峰田 「昨日って...アイツ。」
女の人は分かってないみたいだけど
必然的な上目遣いが僕の体を硬直させた
A 「あれ? いっくん?.....どうしたの？」
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作者名：琴吹 白 | 作成日時：2017年9月16日 8時
