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人の話を遮るのは. ページ6




俺はあの時、自分で思っていた以上に疲れていたらしい。

お館様の言葉に自然と涙が溢れた。昨日の晩、枯れるほど泣いたのに。
この日から俺はお館様に絶対的な忠誠を尽くすようになった。






「...ではこれで、禰豆子が人を襲わないという証明ができたね。意見がある子はいるかな?」


...ぼーっとしてたみたいだ。
少し昔を思い出していた。


「...少年、妹が無事でよかったね」

「ぁ、ありがとうございます!!!」

「礼なんてお館様に仰いなや〜」


そう言って手をヒラヒラ振ると俺は柱の面々が並ぶ方へ後ずさり、同じように跪く。


「...稲荷崎さん、感謝します」

「ぅうわぁあしのぶさんにお礼言われちゃった!!俺今日一日頑張れるわ!!!」

「うるさいです...けれど、やはり貴方は人一倍他人の心を慮ることができる。
そこばかりは尊敬の念を持ちます」


しのぶさんはそう言うと、俯きがちに自分の足元を見た。...美人さんがそんな顔してちゃなあ。俺も元気が出ないってもんよ!(生物学上:女)


「あらあらどうしたのしのぶさん?俺をそんなに褒めたってなんにも出ないゾォ〜!」

「ならこの私の頭に乗りでている手は何なんでしょうね?」

「アッつい反射的に」


...あ、よかった。笑った笑った。愛想笑いだけど。ちょっと青筋立ててるけど。


「...あ、というか少年怪我してるんじゃ?」

「でしたら私の屋敷でお預かり致しましょう。
はいっ、どうぞ!」


「...え、なん」

「前失礼しまァァァす!!!!!」


突然、二人の隠が猛ダッシュで走ってくる。
男の方は少年をひょいと拾い上げて担ぎ、そのままダッシュしていった。嵐のような人達だ何あれ面白い。



「では柱合会議を...」
「ちょっと待ってください!!!!」

「.....お?」


「その傷だらけの人に頭突きさせて頂きたいです絶対に!!禰豆子を刺した分だけ絶対に!!!!」


隠の二人は必死に少年をボコボコ叩き「黙れ」だの「やめろ」だの「馬鹿」だの「阿呆」だの言っている(別にそこまで言ってない)。そんな荒れている場へ足を運ぶ。


「...」

「うわ時透君、石投げちゃ危ないよ」

「...お館様の話を遮るのが悪いよ」

「それもそうかあ...少年、どんな理由であれお館様の御話を遮るのはよくないよ」

「す、すみません...」

「分かったなら宜しい。
頭突きはまた後で、今は治療!ほら早く!」




「し、失礼しましたァァァァアアア!!!!」




隠の声がこだました。


どうしてもお礼が言いたくて.→←女に生まれたことを.



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作者名:たらんら | 作成日時:2019年10月7日 23時

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