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「ヤー、キム・ジョンウン」
俺がそう声を掛けると。
すっかり陰ってきた日差しをバックに、何枚もセルカを撮る弟がビクッと肩を揺らした。
「…ヒョン」
「怒ってねーよ(笑)」
ヤー、とか言うからびっくりしたのか?
いつもだろーが(笑)
「…なあ、あいつどうしてる?」
「聞いたんだ?」
「おう、アジュンマに聞いたらはっきりとは教えてくんなくて」
「……急いだ方がいいかも、ヒョン」
チラッと周りを見て、ジョンウンはそう言う。
何を見たんだ?
「ん?」
「リョウガ、もう行ってる」
よく見たら、リョウクがいなかった。
あいつ、いつの間に…?
こんだけ大所帯だと、誰かいなくても気付かない時なんてしょっちゅうだ。
「チッ、どこ行った?あいつ」
「空港」
「は?」
「今日戻るんだ、A」
「は???」
朝いたところにまた戻るのか?
くそ、また面倒くさいことを…。
タイミング悪いんだよ、あいつはほんとに。
でも。
なんでだか、居場所がはっきりして、俺、ほっとしてる。
だってほら、笑っちゃってんだろ?今。
「ヒョン、気持ち悪い」
「ばか、うるせーんだよ(笑)」
浮き足立ちながら荷物をまとめて、最後に鏡をチェックして。
ジョンスに止められながら、ホテルを後にした。
「怒られるの俺なんだぞー?!」
って最後に聞こえたけど。
ごめん、ジョンス、俺のために怒られといて(笑)
タクシーを捕まえて、なんとか行き先を伝えて、
あっという間に沈みかけている夕日を横目に、空港へと急ぐ。
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走って、走って、
息を切らして、
立ちすくむ大事な弟と、
抱きすくめられる大事な女と、
その女を抱きしめる意外な登場人物、
そのシーンが目に入って。
けど、動揺してる場合じゃない。
これがきっと、クライマックス。
久々に見つけたAに、自分が思っていたよりももっともっと、気持ちが溢れてくる。
他のやつのところに行くAの背中を押す、なんて、やめたくなった。
けど。
何度も言うが、男に二言はない、から。
キュヒョンに抱きすくめられるAの腕を掴んで、駆け出す。
ああ、このままどっか遠くに行けたらな。
なんて。
もうすぐ、終わりだ。
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ナナ(プロフ) - ぺりーぬ。さん» 遅くなってしまいすみません!はじめまして、コメント本当にありがとうございます(p_q )!つまらないと思わせてしまってないか心配ですが、引き続きお付き合いいただけると幸いです、、!これからもよろしくお願いします^_^♪ (2015年9月11日 6時) (レス) id: 5fffd19020 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - みーじゅんさん» はじめまして!コメントありがとうございます…>_<…自分でもよくわからなくなりながら書いている時があるので、こんなんじゃ読んでる方にもわからないかなあ、、と思ってしまってます^^;でもありがたいお言葉をいただけたので、引き続きがんばります! (2015年9月8日 9時) (レス) id: 5fffd19020 (このIDを非表示/違反報告)
みーじゅん(プロフ) - ナナさん、はじめまして。ひっそりと読ませていただいてました。大丈夫です、自信を持って書いてください!コンジュニムの気持ち、ヒニムの気持ち、どちらも引き込まれますので、お話の続きを楽しみに待っています♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: a7a71d2a46 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - saya_*さん» はじめまして!コメントありがとうございます^o^私的に難しすぎるヒニムの心を表せれるかすっごく不安ですが、なんとかやっていこうと思います(笑)これからもよろしくお願いします\(^o^)/ (2015年8月10日 7時) (レス) id: 5fffd19020 (このIDを非表示/違反報告)
saya_*(プロフ) - このお話のヒチョルがだいすきなのでヒチョルサイドのお話、とってもうれしいです(^-^)更新たのしみにしてます(*^^*) (2015年8月9日 14時) (レス) id: 6bec309f09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナ | 作成日時:2015年8月9日 13時