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宿舎から歩き出して、目指す場所。








カランッ







耳に馴染んだいつもの音と、すぐに感じるアメリカーノの香り。


会いたくなって、気付いたらここに来ていた。

涙はとっくに乾いた。


けど、そこにはいつもの姿はなくて、いつもの声も聞こえない。



「…あら、ヒチョラ!」
「………どうも」
「Aちゃんならいないわよ?私の淹れたアメリカーノでよければ出せるけど」



ちゃらけた返事を返すアジュンマに、ちょっとだけ笑えた。



「ん、ありがとうございます、また今度」
「まったく、正直なんだから(笑)」
「………Aは?」
「ああ、あの子ならさっきちょうど出かけたのよ、リョウクちゃんのお見舞いで」
「………へえ」





なんだ、そうゆーことか。



無意識に上がる口角に、自分でもぞっとする。


何が嬉しいんだよ、キム・ヒチョル。
また意地の悪いこと考えてんのか?




そ。

その通り。





「ありがとうございます、アジュンマ」
「ええ、また来なさいね」



何重にも被った仮面で、にこやかにそう挨拶をして。




また、あいつを傷付ける策を練る。



今度はどう傷付けようか?

どうしたら、俺のことを忘れられなくなる?



Aは、俺の、だろ?






だんだん冷える心とは反して、素早く道を行く足。




はやく、はやく、


そして着いた先に見えるのは、

宿舎の扉の前で、酷く驚いた顔のキュヒョナ。




勝手に浮かび出す笑みを抑えながら、唇に指を当てる。






予想通りの展開。

けど、また俺でいっぱいになる、絶対。





堂々と開けた扉の先、

リョウクに守られるように抱きしめられるA。


俺が投げつけたクソみたいな言葉で、

Aは泣きながら飛び出していった。





そう、それでいい。


胸がずきずきと刺されるように痛むのは、

きっと、気のせい。








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ナナ(プロフ) - ぺりーぬ。さん» 遅くなってしまいすみません!はじめまして、コメント本当にありがとうございます(p_q )!つまらないと思わせてしまってないか心配ですが、引き続きお付き合いいただけると幸いです、、!これからもよろしくお願いします^_^♪ (2015年9月11日 6時) (レス) id: 5fffd19020 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - みーじゅんさん» はじめまして!コメントありがとうございます…>_<…自分でもよくわからなくなりながら書いている時があるので、こんなんじゃ読んでる方にもわからないかなあ、、と思ってしまってます^^;でもありがたいお言葉をいただけたので、引き続きがんばります! (2015年9月8日 9時) (レス) id: 5fffd19020 (このIDを非表示/違反報告)
みーじゅん(プロフ) - ナナさん、はじめまして。ひっそりと読ませていただいてました。大丈夫です、自信を持って書いてください!コンジュニムの気持ち、ヒニムの気持ち、どちらも引き込まれますので、お話の続きを楽しみに待っています♪ (2015年9月7日 17時) (レス) id: a7a71d2a46 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - saya_*さん» はじめまして!コメントありがとうございます^o^私的に難しすぎるヒニムの心を表せれるかすっごく不安ですが、なんとかやっていこうと思います(笑)これからもよろしくお願いします\(^o^)/ (2015年8月10日 7時) (レス) id: 5fffd19020 (このIDを非表示/違反報告)
saya_*(プロフ) - このお話のヒチョルがだいすきなのでヒチョルサイドのお話、とってもうれしいです(^-^)更新たのしみにしてます(*^^*) (2015年8月9日 14時) (レス) id: 6bec309f09 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナ | 作成日時:2015年8月9日 13時

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