神様からのおくりもの【美風藍】

プロローグ ページ1

嫌がらせがエスカレートしてきた、と気づいたのはここ最近。
　嫌われているという自覚はあったけど、ここまでくるとさすがに辛くなってくる。

　わざと聞こえるように悪口を離す女子の集団。
　散々からかってくる男子の群。


　元から反抗できないような性格の私、苗字Aは一人お手洗い場でため息をついた。


　何がいけないのかと聞かれれば一目瞭然。

　この薄汚い見た目と、性格である。何それ手遅れじゃね。


　見た目はなんとかなるとしても、性格はどうしようもない。
　修復にゆっくり時間をかけても、ここ一年で張り付けられたイメージを取り消すのは困難である。

(経験者は語る……)


　なんて馬鹿げたことを考えながら、引きずるように重たい足を動かしてトイレを後にした。

　教室に戻れば、突き刺さってくる視線。
　それは嘲笑だったり、哀れみだったりとさまざまだ。

　それも私の心に傷を作る原因の一つで、指摘したとしても調子に乗るだけで聞かないだろうし。
　結局私は我慢するしかないのだ。

　そう、誰にも知られず、私一人で抱えてく。


(とか言っても、昨日散々泣いちゃったんだけどね)

　自分の部屋でひっそりと。

　今考えればバカげてる。何やってんだろうって。


　でも両親に相談するほど大袈裟なことじゃないし、言っても耳を貸さないだろう。
それでも私の親なので、迷惑をかけたくないというのも一理ある。

　だから願ってしまうのだ。

　見えないものに、存在しないであろうものに。


　縋る思いでお守りを握りしめて、私は昨日願ってた。

"誰か助けてください"


　って、ね。

　弱い、私は弱いさ。
　だからこうして縋るしかない。

　願って、苦しむのは私なのに。


　自分でも無様だと思う。

　笑っちゃうね、そんなの。



「……ばーか」


　根性だせ、バカ娘。

　けれど一歩踏み出す勇気が足りないの。

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