7人の傘 3 /8人目/

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ずっと掴んでたのは横山くんのダウンジャケットの裾。









いっぱい、いっぱい駄々をこねた。





困らせた。








全部アルコールのせいにしてしまえばいい。


全部、雨が怖いせいにしてしまえばいい。









横山くんの隣に居る時の感情なんか知らんぷり。









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横「A、起きてるんやろ？」




「…バレてた？」



横「どっから起きてた？」









A、寝ちゃったから横ちょが送って行きやという章ちゃんの言葉も




歯切れの悪い横山くんの返事も





全部聞いてたんだけど。









「…んー、割と最初から」




横「なんで」









タクシーの後部座席。横山くんの肩に頭を預けて、左腕を両手で抱えながら小声で話す。








「…分からん」



横「いつまでもお兄ちゃんじゃ居られへんって何回言えばわかんねん」








苛立ちの混ざった、冷たい声。









「お兄ちゃんじゃ、なかったらなに？」



横「ただ…Aの事好きなだけの三十路ですけど」









照れ隠しで怒ったように言って、そっぽを向いてる。









「それで、ええんやないの？」









こんな誘惑して



私は何がしたいんやろ。








雨でもないのに、ただ横山くんを求めて




何がしたいんやろ？









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