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「もっと、腹から声出せぇ」
ある日のこと。
照明が当たらないほどのカウンター端に座った、疲れた顔のサラリーマンが私に言った。
「…はい」
初めてもらった、私の歌への評価。
嬉しかった。
「声は綺麗。良い」
そのお客さんはぶっきらぼうにそう付け加えると またお酒の追加を私に言いつけた。
その時からやな、歌うってええなぁって思ったの。
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それから5年、そこで働いた。
20歳を超えてからは少しお客さんの話し相手して、お小遣いをもらったりもして。
本当に身体を売るお仕事にすれば、もっと儲かるんかなって考えに走り始めた頃。
弟の友達が家に来た。
「お邪魔しまーす！あ、謙太さんのお姉さん！」
可愛い顔をした男の子で、大学の後輩だという。
「噂通り、お綺麗ですねぇ〜。お仕事、何されてるんですか？」
お仕事…か。言えない、言えるわけない。
「…えっと、ちょっとね」
人に言えない仕事はやめよう、
真っ当に生きよう。
その子のおかげで我に返った。
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弟が無事、第一希望の薬品会社に就職したのを見届けてからそのバーに別れを告げた。
そして弟との同居生活も終わりにすることにした。
「…姉ちゃん、どうするん？」
東京に来て何年も経つのにちょっと抜け切らない関西弁が可愛いなって思いながら、弟を見上げると泣きそうな顔してる。
「泣かんとって！姉ちゃん、バリバリ働くし」
「ごめんな、俺、大学まで行かせてもらって。就職もできたんに、姉ちゃんになんも出来んかった…」
「ちゃんと 安心して暮らせる場所くれたん、謙太やから。それで十分やで？」
「逃げてごめんな、俺、姉ちゃんが苦しんでたのに大阪に様子見に帰ったりせんくて…
姉ちゃんが夜。寝ながら泣いてたりする度に俺、俺……」
ずっと 気に病んでたんかな。
ごめんな、ごめんなって泣く優しい弟の頭を撫でながら
遠く離れてたこの子の心を
不幸な私の存在が 傷つけてたんやな、って。
「姉ちゃん、ちゃんと幸せになったるから見とって？な？！泣かんのっ！」
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うとうと(プロフ) - ∞黄色LOVE∞さん» 黄色LOVEさん はじめまして。本当に嬉しいお言葉ありがとうございます！たくさん褒めてもらえて、ウキウキです♪♪ 頑張ります。ありがとうございました！ (2016年8月30日 12時) (
レス) id: 688d895de1 (このIDを非表示/違反報告)
∞黄色LOVE∞ - 本当に大好きです♪進め方が丁寧で、リアリティーは占ツク一番だとおもいます！！これからも連載がんばってください！応援しています(*^^*) (2016年6月21日 23時) (レス) id: 664c2b6b90 (このIDを非表示/違反報告)
里香(プロフ) - うとうとさん» はい！楽しみにしています！ありがとうございます！ (2015年10月13日 17時) (レス) id: 7120e2e516 (このIDを非表示/違反報告)
うとうと(プロフ) - 里香さん» 励みになります。本当にありがとうございます(∩´ω`∩)期待に応えられるように、精進して参ります！他の作品も読んでくださって、光栄です＊引き続きよろしくお願いしますね( *´艸`)♪ (2015年10月13日 7時) (レス) id: 73b159c073 (このIDを非表示/違反報告)
里香(プロフ) - うとうとさん» いえいえこちらこそ。本当に楽しみにしているので、頑張ってください。保健室のほうも、読ませていただいてます。 (2015年10月13日 0時) (レス) id: 7120e2e516 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うとうと
| 作成日時：2015年8月1日 12時
