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「え、もう帰るのかい?」
さも驚いたように目を丸くさせる彼だけど、私も仕事があるので早く帰らないと困る。
「あ、はい。せっかくですし璃月観光もしていきたい所ですが、今回来た目的はテウセルを連れて帰ることなので」
彼はそれを聞くと、すこし考えるような素振りをしてから、なにか思いついたようで口を開く
「テウセル、お兄ちゃんの方で帰国の船を用意するから、玩具屋さんの店員さんたちと一緒に帰れるよね?」
「うん!ボクひとりでも平気だよ!」
元気いっぱいに答えるテウセルに、さすが兄ちゃんの弟だと頭を撫でる。私が呆気に取られている間に話を進めないで欲しい。
「え、あっいやあの私は!!」
「ん?君はここに残ってよ。せっかく会えたのに直ぐにさよならなんて悲しいなぁ」
「わ、私、今日中に船に乗らないと....仕事も無理言って数日休みを頂いてきているので....」
そう言うと彼はむっと口を尖らせて不満げな表情をする。私だってぶっちゃけ帰りたくない。どう言おうと考えを巡らせていたその時だった。
グイッと腕を引っ張られ、彼の胸元へ倒れ込む。そしてそのまま耳元に吐息がかかる距離まで詰め寄られる。
「俺が寂しいんだよ。久しぶりに会えて、柄にもなくちょっと浮かれてるんだ。」
その一言を聞いた瞬間、心臓がドキリと跳ね上がる感覚に襲われた。
「っ……!」
顔に熱が集まる感じがして胸元を押して突き放し、距離をとる。
「あはは、かわいい反応するじゃないか。少しここで待っててくれよ」
私の動揺を知ってか知らずか、彼は意地悪に笑う。それからテウセルを連れて港の方へと歩いていった。突き放した時、ビクともしなかった。体幹がいいんだなとか、まったく違うことを考えてしまう。
「なんなのよぉ……」
一人取り残された私は、赤くなっているであろう頬に手を当てながら呟いた。
ファデュイ、北国銀行スネージナヤ支部受付嬢A。幼馴染の公子様に恋をしています。
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アイリス(プロフ) - 星空ブリキさん» コメントありがとうございます!!キュンキュンして貰えてとっても嬉しいです! (2022年7月19日 3時) (レス) id: 1ebf608b16 (このIDを非表示/違反報告)
星空ブリキ - 初っ端からキュンとさせられた………\(//∇//)\ (2022年7月13日 6時) (レス) @page7 id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
夜浜 - いえいえ、これからも更新頑張ってくれると嬉しいです。(´˘`*) (2022年4月10日 14時) (レス) id: 3a2aa6a0f4 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - 夜浜さん» ありがとうございますー!完全に趣味で妄想しているものを載せているだけなので、解釈違い等あるかもしれませんが、楽しんでくださると嬉しい限りです。 (2022年4月10日 12時) (レス) id: 1ebf608b16 (このIDを非表示/違反報告)
夜浜 - 激甘タルタルも良いですし、夢主ちゃんが可愛すぎますっっ。お話楽しみに見させて頂いてます。 (2022年4月10日 11時) (レス) @page12 id: 3a2aa6a0f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アイリス | 作成日時:2022年4月4日 2時