▽ / skt ページ46
※ちょっと大人展開
「ただいま帰りました〜」
Aはきちんと終電前に帰ってきた。
ただ、俺が見た中で一番酔っ払っている。、ふにゃふにゃふらふら、危なっかしくないと言えば嘘になる。
「結構酔っとんなぁ、一人で帰ってこれたん?」
男に送られたりしてないよな?言外に滲ませた独占欲に全く気づかぬ様子で、Aははい!と元気に答えた。
「送るよって言ってくれる子いたんですけど、男の子だったのでことわりました」
「…へえ、」
ーーーやっぱり、狙われとるやんか。
むくむくと顔を出す黒い感情を彼女にぶつけないように努めつつ、ソファに座る彼女に水を注いでやった。
ありがとう、優くん。へらりと笑う。
この溶けるような笑顔にときめいていたであろう、顔も知らない彼女の同級生たちが気に食わない。
「今日はねえ、高校の時から仲良かった子が来ててー………」
誰それが付き合っててびっくりした、〇〇君も美容関係の仕事に就いているみたいで話が盛り上がった、と、楽しげな様子で今日の思い出を語る。彼女に悪気がないのはわかっている、けれど男の名前が出る度に俺の機嫌は下がっていく。
「……眠い、」
ひとしきり話して満足したのか、Aはソファに横になった。このまま寝てしまいそうな様子に、せめてベットに連れて行こうと彼女を抱き上げたその時。
ーーーほのかに香った男物の香水の香りに、何かの枷が外れた。
「ーわっ、ゆうくん…?」
驚くAを無視して寝室へ連れていく。いつもより少し乱暴に押し倒しキスを落とせば、彼女は何が起こるか理解して慌て始めた。
「あ、ま、待って優くん、お風呂!あと電気……っ」
「知らん」
いつもなら聞いてやるお願いも却下すると、彼女は困った顔をした。
何もわかっていない表情。俺の汚い感情も、自分に向けられていたであろう同級生の男たちの下心も。
「…香水の匂い移るくらい近くで、男と話しとったんや」
「え、それは!離れてって〇〇君には何回も注意し、んぅ」
うるさい、名前呼ぶな。深いキスで口を塞ぐ。
普段は絶対つけない首筋に噛み付いて強く吸えば、Aの口から濡れた声が上がった。
出かける前にこうして俺の印をつけてやればよかった。
そうすれば、変な男も寄り付かんかったのに。
早く上書きしたい。そんな気持ちで散々華を散らして、ふと見下ろしたAの表情は、困惑と怯えでいっぱいだった。
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打楽器(プロフ) - ちゃかのさん» ありがとう!!!!😂✨最初の作品で思い入れもあるから一層嬉しい〜〜!いつもありがとう!!🥰 (2022年7月6日 10時) (レス) @page50 id: e8512220c2 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃかの - 101票ー!!!🎉🥳 10.0のままおめでとう殿堂入り!!! (2022年7月5日 17時) (レス) id: 429671251e (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - 茶菓さん» うぐ…っ(嬉)普段優しいのに余裕なくなっちゃうの大好物なんです、文才なんてそんな勿体ないお言葉…!励みになりますもっと番外編も増やせるようにしてきますね! (2022年5月24日 8時) (レス) @page47 id: 9be83c3a2a (このIDを非表示/違反報告)
茶菓 - …ん"んっ(悶) 余裕なさそうなのめっちゃ書くのうまいですね、文才ください🙃 嫉妬さかたん番外編ありがとうございます!!! (2022年5月23日 18時) (レス) @page47 id: 68685abacb (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - 茶菓さん» わわわありがたいお言葉………!励みになります!お仕事休みの間にたくさん更新しますね!笑ありがとうございます😊 (2022年5月3日 22時) (レス) id: 5b8d76cfc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:打楽器 | 作成日時:2022年4月10日 5時