【skt】とびきりカッコよくします【usss】

▽ / skt ページ35

　
　
「私LINEでおめでとうございますって送りましたけど、」

「うん」

「同じ様に、0時ぴったりにメッセージくれるファンの子達って、いっぱい居ますよね？」

「まぁ………そうね」

「ライブの途中、会場の皆からハッピーバースデー歌われてましたよね」

「歌ってもらったね」



俺の誕生日にまつわる今日の出来事を確認していくA。




「………私、今日、ファンの子達とおんなじことしかしてないな、って思って」




0時ぴったりのメッセージ。お祝いの言葉。
俺が今日、ファンとAから貰ったもの。




「むしろ一緒にいる時間だったら、私より会場にいたファンの子達の方が長いよな、って気づいたんです。そしたらーーー…、

なんかほんのちょっとだけ、悔しくなっちゃって」




活動に対して文句は少しもない。
ファンに大事にされているのは誇らしい。
けれどーー特別な日に1番近くにいる存在は、自分がいい。




「日付変わって1番最初にお祝いするのは、他の子達もしてたから………私は日付が"変わるまで"、最後までお祝いしたいなって」




だから、来ちゃいました。

大人気ないですよね、こんな対抗心燃やして。



そう言って彼女は気恥ずかしそうに笑う。



あ、もちろん配信はしてていいですよ！終わるまで大人しくしてます。

さっきもね、ライブ聞いててやっぱいいなーと思って坂田さんの曲聞いてたんですよ。



「そうだ！ケーキ買ってきたんです。甘すぎないやつ。後で食べましょーー」

「A」




照れを誤魔化す様に珍しくペラペラと喋る彼女を腕の中に閉じ込めて、遮る。



ー活動に理解があって、聞き分けがよくて、人間のできた彼女。



間違ってない。ただ、それが全てじゃなかった。

俺の特別は自分がいい、他の子と同列は悔しいのだと、可愛らしい嫉妬心を燃やして。

連絡なしに来るなんて普段じゃ絶対しないこと。きっと迷惑じゃないかなとか考えたやろうな。

それでも健気に、俺の曲を聞きながら、1人この家で俺を待っていた彼女がとてつもなく愛おしい。




「…呆れてないですか………？」

「呆れててへんよ。むしろ嬉しい。可愛い」

「っ、へ、へんなの………」

「ーーあぁでも、一個だけわかってないことあるで」




同じ言葉でも、同じことでも。Aからが一番嬉しくて特別で、俺の心を掻き乱すってこと。







いじらしい彼女がいつでも余裕でいられるくらい、今夜しっかり教えこむとしよう。
　
　
　

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