▽ / skt ページ27
約束通り、佐伯さんに告白しようと誘った食事当日。
流石に緊張していつもの調子が出ず、気がついたら食事が終わっていた。
夜の公園を2人で歩きながら、どう切り出そうか考える。
すると、いつのまにか立ち止まっていた佐伯さんに斜め後ろから呼び止められた。
「………今日は、"教えてくれる"日じゃ、ありませんか」
核心に触れる言葉。
教えるよ、教えるんやけど。
「ーなんでそんな、不安そうな顔してるん…?」
「、」
俺が問うと、彼女は俯いて「だって、」と呟いた。
「いつもよりオシャレしてきたつもりですけど…何も言わないし、」
「お酒も飲まないし、」
「なんかずっと、元気なさそうですし……」
今日、楽しくなかったですか………?
どんどん尻すぼみになっていく声。
あぁ、俺がヘタレなせいで彼女を不安にさせてしまった。
「佐伯さんとおって、楽しくない時なんてないよ」
「、じゃあ、」
「今日、ずっと緊張しとって。やからやと思う。…ごめんな?」
オシャレしてきてくれてたのも、ピアスつけてくれてんのもすぐに気づいたで。可愛すぎて逆になんて言っていいかわからんかった。
酒飲まんかったのは、酔っ払って言葉に説得力がなくなるのが嫌やったから。
「ーーー今日は大事な話するって、決めてたからな」
佐伯さんの表情に少しの緊張が走る。
そんな構えんでもええよ、という気持ちを込めて彼女の手をとると、頬に紅がさした。
愛しいなぁ、ほんま。
「俺がこうやって触れたいって思うのは、佐伯さんだけやで」
2人で出かけたり、プレゼントあげたり……色々したくなるのも全部。
「佐伯さんのこと好きやから。スタッフとしてじゃなくて
ーー女性として、特別に思ってる」
彼女の目を見てまっすぐ伝える。綺麗な瞳に自分が映っているのが見える。
ーそうやって、俺だけ見てて、俺のこと考えて。
そんな想いを込めていると、彼女の手がキュ、と俺の手を握り返した。
「………そうだといいなって、思ってたんです」
ふわり、目を細めて微笑む。
「今日坂田さんが教えてくれなかったら、私から言おうと思ってました」
触れられてドキドキするのも、緊張しちゃうのも、全部坂田さんが特別だからですよって。
「ーーーすき、です。坂田さんの、恋人になりたー…、」
我慢できずに、目の前の唇を塞ぐ。
やっと手に入れた。
ーーー君の恋人っていう、たったひと席の特別。
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打楽器(プロフ) - ちゃかのさん» ありがとう!!!!😂✨最初の作品で思い入れもあるから一層嬉しい〜〜!いつもありがとう!!🥰 (2022年7月6日 10時) (レス) @page50 id: e8512220c2 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃかの - 101票ー!!!🎉🥳 10.0のままおめでとう殿堂入り!!! (2022年7月5日 17時) (レス) id: 429671251e (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - 茶菓さん» うぐ…っ(嬉)普段優しいのに余裕なくなっちゃうの大好物なんです、文才なんてそんな勿体ないお言葉…!励みになりますもっと番外編も増やせるようにしてきますね! (2022年5月24日 8時) (レス) @page47 id: 9be83c3a2a (このIDを非表示/違反報告)
茶菓 - …ん"んっ(悶) 余裕なさそうなのめっちゃ書くのうまいですね、文才ください🙃 嫉妬さかたん番外編ありがとうございます!!! (2022年5月23日 18時) (レス) @page47 id: 68685abacb (このIDを非表示/違反報告)
打楽器(プロフ) - 茶菓さん» わわわありがたいお言葉………!励みになります!お仕事休みの間にたくさん更新しますね!笑ありがとうございます😊 (2022年5月3日 22時) (レス) id: 5b8d76cfc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:打楽器 | 作成日時:2022年4月10日 5時