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ut「ほんまに来てくれたんやな。ありがとう。ごめんなぁ、仕事終わりに。」
「いえ。それよりも早くお元気になってください。」
お茶を出そうとする鬱をベッドの部屋まで行かせて寝かせる。Aちゃんったら大胆！と言われたので投げ入れてやった。…半分冗談ね。
とりあえず、お粥作るか。彼に一声かけてほぼ新品みたいに綺麗な鍋を使う。料理しない人なのかしら。
ut「Aちゃん今日なんで来てくれたん？」
「それは真琴から体調のことを聞いて」
ut「心配してくれたん？ありがとう」
心配は、まぁしたけれども。
ut「Aちゃんが来てくれて嬉しいなぁ」
ふと彼の方を伺うとふにゃふにゃと笑っていた。
なんだか調子が狂う。彼のこんな姿を見たことがないからよね。きっとそう。
お粥を彼の所にもっていく。彼は少しだけ起き上がり、美味しそうだと喜んでいる。
「これ食べて早く元気になってくださいね」
深皿とスプーンを彼に渡し、帰ろうかと立ち上がる。
ut「Aちゃん待ってや」
彼に手を捕まれて、そのまま、また座らされる。なに？帰るんだけど。と伝えてもじぃっと見てくるだけ。
しばらく待っていると、やっと彼は口を開いた。
ut「俺、Aちゃんにずうっと聞きたかってんけどさ」
「はい」
ut「Aちゃんって、好きな人居るん？」
「え？」
好きな、人？なんで急に…
「いや、居ないよ…？」
ut「…そか。」
なんでそんなこと聞くの？
と、聞きたかった。でも、聞くのが怖くて、言えなかった。
私は開きかけた口を閉じ、逃げるように立ち上がった。
彼はもう帰るなら玄関まで送る。と着いてきてくれた。
ut「ごめんなぁ。ほんまは家まで送ってあげたいけど…」
「全然、むしろ休んで欲しいし。これくらい大丈夫」
彼はまた微笑んで
ut「じゃあ、また明日な。Aちゃん」
私の頭を撫でた。
「……うん。また明日…」
ドアを閉めてゆっくり廊下を歩く。
少し止まって冷静になる。
「…いや、冷静になれるわけないじゃない。」
頭を撫でられることなんて兄さんからだってされたことあるし、何ともない筈なのに。
嬉しいと思ってしまう。最近。触られることに対して。
…もう私はダメかもしれない。勘違い、してしまいそうになる。
でも、そう。そうだ。私と彼が釣り合う筈がない。そう決めてたじゃない。
私なんかが…
やっぱり気を付けないと。彼が私を好きになることなんて無いんだから。
少し、悲しいけど…
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作者名：ほたて | 作成日時：2022年12月23日 17時
