6話 ページ6
「まだフラレたと決まったわけや無いんやから、元気だし？」
「でも！ずっと前から好きって言ってたもん……」
私たちが話し始めたのって3ヶ月前くらいからだよ？
その時は好きだったって事じゃん……。
「A、諦めるん？」
「うぅ……」
諦め……たくはないけど…。
ゾムくんに迷惑はかけたくない……
「ロボロくん！！！」
「あぁあぁ、泣かない泣かない。可愛らしい顔が台無しやで？ほら、」
と、お手拭きを貸してくれる。優しいロボロくん。
「だって、諦めきれないんだもん……でも、迷惑かけたくない……」
仲良く、してくれてるのに。
「うーん、まぁ、Aは優しいからなぁ……」
優しかったら諦めついてるよ……
「今はさ、すぐ諦めなんかつかへんと思うで？だって好きなんやろ？」
「…うん。」
「ゆっくりでええんちゃうか？」
「……うん。」
お酒のせいか、とても眠くなってきた。ロボロくんは、寝てもええよ。と言ってくれたので、ありがたく眠ることにした。
ーーー
「なぁ！あんたもこの授業取ってるん？」
「え、あ、うん。」
「よかった！俺一人かと思っててん！俺はゾムって呼んでや！あんたは？」
「北野Aです……。」
「北野！よろしくな！」
そうだ…。一年の時、とある授業で、私とゾムくんしか居なくて…。分からないところとかお互い聞き合いながらがんばってたな。
「なぁなぁ、ここ分からんのやけど、どういうこと？」
「あぁ、そこ難しいよね…ここは……」
「えっ、めっちゃ分かりやすい！あんがと！北野ってめっちゃ頭ええんやな！」
「全然そんなこと、無いよ。ゾムくんも、教えるの上手だし、いつも助かってる」
ゾムくんと話す時間は前期の間だけと少なかったけどとても楽しくて、二人だけの授業だったけど、とても楽しかった。とても、好きになった。
その授業が終わってしまったら会う機会も全く無くて、でも、ふとした時、ゾムくんを見かけると、どうしても目で追っかけちゃいそうになってた。
三年生になって、また話しかけてくれて嬉しくて。
でももう、諦めなきゃ……いけない……よね。
ーーー
「で、なんでここに居るんかな？ゾム。」
すっかり寝てしまったAをどうしようかと考えていたら、まさか同じ店で飲んでたとは。しかも、話を聞いていたらしく、少し不機嫌。
「A、好きなやつ居ったんか」
「なんで気になるん。」
まぁ、お前の気持ちもなんとなく知ってるけどな。
さて、どうなるかな。
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作者名：ほたて | 作成日時：2022年7月5日 8時
