ボーイッシュな私で【ut】 ページ8
短く切り揃えられた髪。キリッとした眉。膨らみのない胸。そして、高い身長。
こんな容姿のため、女子からの告白が多かった学生時代。
社会人になってからは少なくはなったけれど。
「よっ、A」
「鬱」
私は初めて、恋というものをしている。
今までは部活にすべてを注ぎ、髪も伸ばさずやってきていたが、この男と出会って私は変わった。いやまだ、変わろうとしている段階だけど。髪を伸ばしてみたり、胸を大きくするマッサージとかしてみたり…。
まぁ、とにかくこいつのいう恋愛対象とやらになりたいのだ。
努力した結果なのかだいぶん髪も伸びたし、胸も大きくなった。多分。なってるはず。
「いや聞いてよ。まーたゆりちゃんからラブレターもろたで？今度ご飯行きましょだって。この日は彼女とのデートやったんやけどなぁ…。ま、ゆりちゃんの方がでかいしそっち行くけど。」
「相変わらずやね。あんたは。」
そう、まぁ今の会話を聞いて説明することもないけど、この人はどうしようもないクズ人間。
そんな人に惚れてる私もどうかしてる。
でも、初めてだったのだ。私をはじめから女だと見抜いたこの男は。
「うーん、でもゆりちゃん束縛激しめなんよなぁ…どっちも断ってAと飲みにでも行くか。」
「巻き込まないでよ。他あたって。」
「えぇ〜、えぇやん別に！」
ブーブー言いながらタバコに火をつける鬱。私も自分の懐から取り出して咥える。
「Aさ、髪伸ばしてんの？」
「え？」
ちょっと伸びたよねぇと言いながらさりげなく私の髪の毛の先をほどくように触るこいつ。
たまに耳に当たるのがくすぐったい。
「まーね。」
「何、好きなやつでも居るん？」
ニヤニヤしながら聞いてくる。絶対バカにするだろお前。
「……さーね。」
あんたになんか教えてやんない。
「えぇ、教えてやー。」
そういうと彼はタバコを吸い込んで吐き出す。
「……俺はそのままが似合ってると思うけどな。」
「……あっそ。」
私は急いで美容院を予約したのであった。
ーーーー
最近、彼女の噂をよく耳にする。
なんでも、好きな人ができたのか急に女らしくなったとか。
確かに彼女はもともと綺麗な顔立ちをしている。それにプラスされたらそりゃさらにモテるよな。
今度彼女に告ろっかな。なんて同期同士が会話している。これはいけない。
でも俺やって鬼やないから教えてやるのだ。彼女好きな人いますよ。と。
彼女の本当の魅力は俺しか気付かんでええねんから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほたて(プロフ) - ピッピ168号さん» お話を読んでいただき、コメントをくださり、ありがとうございます！続き書いてみます…！ (7月1日 20時) (
レス) @page26 id: 70a6573ceb (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - あの、サプライズ【ut】の夢主ちゃんの誤解が解けたあとのお話って、書いていただけたりしますか…？ (7月1日 14時) (レス) @page26 id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
ほたて(プロフ) - まるさん» こちらこそ、ご指摘していただいてありがとうございました！作品を読んでいただいてありがとうございます！ (2023年4月21日 19時) (レス) id: 70a6573ceb (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ほたてさん» なるほど！？そうだったのですね…。こちらも確認不足で申し訳ないです💦 続編ということで、一旦スルーしていたのですが、該当作品を見た後にまた戻ってきます！ (2023年4月20日 23時) (レス) id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
ほたて(プロフ) - 烏丸さん» ありがとうございます！読んでいただいてとても嬉しいです！バッドエンド苦手意識がありましたが、褒めていただいて自信がつきました！これからもがんばります！ (2023年4月19日 23時) (レス) id: 70a6573ceb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほたて | 作成日時：2022年3月1日 23時
