タバコのにおい【kn】(ちょっとut) ページ44
喫煙室。私の好きなところ。なんでかって？
「おう、Aか」
「コネシマ。あなたも休憩？」
理由のひとつは好きな人が来るから。それだけ。世間話したり、後輩のことを話したり、彼といる時だけは私は、幸せだった。好きだった。
でも、最近は違う。
「？あんた、それ吸ってたっけ」
「そーなんよ。それがさ、前に話したあいつ、タバコの臭いがあかんらしくてな？これならええんちゃうかって友達が言うててん」
「…ふーん」
前に話したあいつ。というのは、彼の好きな後輩。今は彼女のことばかりだ。
「でもさ。今まで結構重いの吸ってたやんか。いきなり慣れるもんなの？」
「まー、もの足りひんけど…。あいつの為なら、な？」
俺こう見えて後輩想いやから！なんていつもの調子で笑うから。ずるい。
「ぞっこんってことね」
「そや！あ、てかA、この間鬱先生がお前とご飯行きたい言うてたで」
「…それ言って良いの？」
「？ええやろ！」
遠回しに鬱からデートに誘われた気分なんやけど？
「良い奴やで？大先生」
「ふーん」
大して興味はない。でもきっとあなたも私に興味はないんだろうな。
私は彼に上手くいくと良いわね。と声をかけて喫煙所を出ていく。彼は何時ものように笑っていた。その笑い声がいつでも明るくて、好きだった。
私は、あなたのタバコの匂いも、好きだった。
ーーー
「あのーAさん、隣ええですか？」
「あぁ、どうぞ。鬱さん」
私は何時ものように喫煙所で休憩していると、鬱さんが入ってきた。
「Aさん、結構重いの吸うんすね」
「うん」
彼の、前吸っていたタバコだから。でもやっぱちょっと重いわ。この1箱で終わりにしよう。
「俺の友人も吸ってました。もう止めたけど」
「恋人に一途なんでしょうね」
コネシマでしょ？と聞くと、大正解だった。鬱さんのタバコは私がいつも吸っているやつだった。
「俺、好きな人の好みに合わせるの無理やと思ってました。きっといつか、苦しくなる」
「そうですね」
「でも、恋の力って思ったより強くて、合わせられちゃうんやなって」
鬱さんは私を見て言う。
そっか。なら私は、彼のタバコを吸えない私は恋の力が弱かったってことか。
「あの、もし良かったら俺とご飯でもどうすか？」
「…いいですよ」
私は吸いかけのタバコの火を消して、鬱さんに一声かけ喫煙所を出ていく。
やっぱり私、いつものタバコが好きだった。さようなら。
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ほたて(プロフ) - ピッピ168号さん» お話を読んでいただき、コメントをくださり、ありがとうございます！続き書いてみます…！ (7月1日 20時) (
レス) @page26 id: 70a6573ceb (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - あの、サプライズ【ut】の夢主ちゃんの誤解が解けたあとのお話って、書いていただけたりしますか…？ (7月1日 14時) (レス) @page26 id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
ほたて(プロフ) - まるさん» こちらこそ、ご指摘していただいてありがとうございました！作品を読んでいただいてありがとうございます！ (2023年4月21日 19時) (レス) id: 70a6573ceb (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ほたてさん» なるほど！？そうだったのですね…。こちらも確認不足で申し訳ないです💦 続編ということで、一旦スルーしていたのですが、該当作品を見た後にまた戻ってきます！ (2023年4月20日 23時) (レス) id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
ほたて(プロフ) - 烏丸さん» ありがとうございます！読んでいただいてとても嬉しいです！バッドエンド苦手意識がありましたが、褒めていただいて自信がつきました！これからもがんばります！ (2023年4月19日 23時) (レス) id: 70a6573ceb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたて | 作成日時：2022年3月1日 23時
