鼻緒【sha】 ページ43
憂鬱だ。なんで来たんや。私。
「まさかここまで来てドタキャンされるとは…」
花火大会。初めて誘われた。しかも男子から。浮かれたよねー普通に。
あーぁ、折角気合いいれて浴衣で来たのに。
「ん？A？」
「げ、シャオロン…」
最悪。最悪だ。息をするように煽ってくる幼馴染みのシャオロンじゃん。しかも、いつもの4人組でおる…。くそ、別クラだし最近は煽られないように避けてたから気まずい…！
ここは、去らねばならぬ。女なら。ということで、皆に一声かけて去ろうとした。
なのに
ブチッ
「…え？」
ふと足元を見ると、どうやら下駄の鼻緒が切れたらしい。え、今日厄日？
いや、ここで勘づかれてはいけない。次こそ綺麗に去るぞ。
「じゃあ皆、またねー…」
「お前さー、あほなん？」
「は？」
なんで罵倒されてるの。あーあー、今日は本当に良いことない。泣きそ。
「おいお前らー！先いってて！」
と言うと、シャオロンは私の前に背を向けて座った。
「え？シャオロン？」
「ほら、早く乗れよ」
これは、おんぶしてやるよってこと？
「いやいや大丈夫やし！一人で帰れるから！ほら、皆のとこに」
「あほ、早よ乗れ言うてんねん」
なんだこいつ、ほんまにシャオロンか？
これは乗らないとそろそろ周りの目が痛くなってきたし、お言葉に甘えるしかないか。
「よし、なら行こ」
「…ありがと」
「ん」
ーーー
久々におんぶした彼女は軽すぎて心配になるくらいだった。てか、今日だって。無理してるのに、泣くの我慢してんねやろうな。
あの時、クズな男友達がAを夏祭りに誘って、ブッチしようと企んでいることを聞いた。…あほなやつら。
こいつもこいつで、俺に話さない辺り、あほ。
「…なー」
「なに？」
「来年から俺と行かへん？夏祭り」
「……えー、シャオロンと二人？」
「あと、鬱と、ゾムとー。あとトントンとか、楽しそうやん？」
「……それは楽しそう、じゃん。行きたいな」
絶対泣いてる。でも、絶対心配させないために、我慢してるふりしてんねやろな。
それを、我慢せんでええんよ。俺の前でだけでも、わがままでおってって言えたらいいんやけどな。
拒否されるのが怖くて、言えへん俺も、あほなやつ。
「シャオロン」
「ん？」
「鼻緒、切れた」
「あーそうなん？気づかへんかった」
嘘。最初から気付いてた
「だから、来年の為に買いに行くの付き合って」
「…しゃーねーな！」
来年は楽しい気持ちにさせたるから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほたて(プロフ) - ピッピ168号さん» お話を読んでいただき、コメントをくださり、ありがとうございます！続き書いてみます…！ (7月1日 20時) (
レス) @page26 id: 70a6573ceb (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - あの、サプライズ【ut】の夢主ちゃんの誤解が解けたあとのお話って、書いていただけたりしますか…？ (7月1日 14時) (レス) @page26 id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
ほたて(プロフ) - まるさん» こちらこそ、ご指摘していただいてありがとうございました！作品を読んでいただいてありがとうございます！ (2023年4月21日 19時) (レス) id: 70a6573ceb (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ほたてさん» なるほど！？そうだったのですね…。こちらも確認不足で申し訳ないです💦 続編ということで、一旦スルーしていたのですが、該当作品を見た後にまた戻ってきます！ (2023年4月20日 23時) (レス) id: 33402943a7 (このIDを非表示/違反報告)
ほたて(プロフ) - 烏丸さん» ありがとうございます！読んでいただいてとても嬉しいです！バッドエンド苦手意識がありましたが、褒めていただいて自信がつきました！これからもがんばります！ (2023年4月19日 23時) (レス) id: 70a6573ceb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほたて | 作成日時：2022年3月1日 23時
