死人が出る遊園地 (ページ43)

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自己紹介/篠村一途＆穂村途萎ページ43

「んわぁ…凄…」

と途萎が何なのか分からない声を漏らし唖然とする。

しかし無理はないだろう。

使用人の杏里沙(ありさ)に途萎と一緒に送ってもらい足を踏み入れた場所は、とても遊園地とは言い難いような物々しい雰囲気を放っていた。

「うん、なんか…凄いね。というか、神隠し神隠しなんてあるけどこんなところにわざわざ遊びに来る人なんて居るのかな？普通怖がりそうだけど…。」

「ん～それこそ肝試し感覚で都市伝説を調べに来る人だっていたんちゃうん？まぁその結果ここまで被害が拡大して私達が呼ばれたんだろうけど。」

言葉を交わし躊躇いながらも中に入ると子供が何人か集まっている。

しかし全員ではなさそうなので隅っこで途萎とちょっとした無駄話をしているといつの間にかこの場に全員の子供達が集まっていた。

急いでその輪の中に入れてもらい、それから自己紹介がスタートする。

「やあ、君たちのリーダーになる諏訪部大和だよ。因みにリーダーは手紙で任された。どうぞ宜しく」

「副リーダーに任されました。黒瀬槐です。リーダーの大和さん宜しくお願いします」

とリーダーと副リーダーのひとが普通に自己紹介をする。

しかし突然隣にいた途萎の表情が明らかに変わった。

「……諏訪部、大和……？」

「私がどうかしたかい？」

途萎がリーダーのひとの名前を呟くとそのひとは間髪入れずににこりと笑って返す。

目は笑っていなかった。

その瞬間途萎からそのひとに向けられていた疑惑の目が敵意の目へと変わった。

「お前は……！グランギ――」

そう途萎が言い出したその時、あのひとが一瞬で途萎の近くに来て何かを言う。

わたしが聞き取れたのは

「一途に手ぇ出したら殺すで」

という途萎の尋常じゃない恨みが籠っていた一言。

その後あのひとは途萎から離れていったが今の一悶着でその場の空気は凍りついてしまった。

…なんか、あの頃みたいだなとぼけーっとしていると意外とすぐに自分の番が来たので焦って

「篠村一途です」

とだけ言って礼もせずに終わってしまった。

流石に口数が少な過ぎたのか周りの視線が集まるがしょうがない。

だってこれ以上何を言えばいいのか分からないんだもん。即興だったし。