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「そ、願い」
「な、なにをですか……?も、もしかして願いと言っといてなにか怖いことを……」
思わずびくびく、とふるえながら言っていると、「なわけ」と彼は呆れたような目で私の頬をが、と掴んできた。
「俺の言うこと、十個聞け」
「ひゅ、ひゅっこ!?」
「だめか?」
中原幹部は私の頬から手を離すと、うかがうように目を見てくる。
たずねてくる彼に、私は両手を顔の前にだして、ぶんぶんと振った。
「じゅ、十個なんて多すぎますよ!」
「……じゃあ九」
「十分多いです!」
私は一体彼になにをやらされるんだ……!
全力でその言葉を否定していると、彼は指で八を作って私の目の前に示してきた。
「じゃあ八でどうだ」
「多いですよっ!二個減っただけじゃないですか!せめて五!」
私も安否がかかっているから、下手にでることはできない。
こちらも同じように、手で五を示してはっきりと自分の意見を伝える。
すると、中原幹部は悩むように顎下に手をつけた。
うーん、と考えているようす。
も、もしかしたら五で押し通せるか……?と、淡い希望を抱く。
だが、そんな希望も簡単に散ってしまった。
「……パンツ」
ぼそ、と彼がつぶやいたからだ。
それを言われてしまえば、こちらはなにもいえない。
それはずるいですよ中原幹部!というか不可抗力じゃないですかあんなの!
なんて言葉を飲みこんで、がっくりと肩を落として「じゃあ八でいいですよ」と、頷くしか方法はなかった。
そうすれば、彼はみるみるうちに満面の笑みに戻る。
「……随分ご機嫌ですね、中原幹部」
なんて少しふてくされながら言うと、「そういうAは随分ふてくされてんな?」とからからと笑った。
だっ、誰のせいだと……!
少しだけ、腹たつ感情を覚えながらも上司を手前にそう口を滑らせることはできない。
我慢していると、に、と彼は口角をあげた。
「じゃ、まずは一個目のお願いを使わせてもらおうか」
「えっ、も、もうですか!?」
「別にいいだろ?」
なんていう彼は、私の目には随分横暴にしか映らない。
しかし、決定権があるのも彼。
「お願い一個目」
彼は一本指を立てた。
「俺のことを名前で呼べ」
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橘スミレ(プロフ) - やった〜!!更新ありがとうございます!!デートだぁ! (4月7日 23時) (レス) @page10 id: 4832f2335e (このIDを非表示/違反報告)
狐の鈴 - この題名で小説を読んだ私は間違いなく変態だ (11月14日 2時) (レス) @page9 id: 194b92769c (このIDを非表示/違反報告)
瑠宇@鈴蘭 - チュウヤのぱんつみたい((((((変態が (7月26日 15時) (レス) @page5 id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
橘スミレ(プロフ) - 中也の尊さが爆発してます!好きです! (7月12日 0時) (レス) @page9 id: 4832f2335e (このIDを非表示/違反報告)
しゅわ。(プロフ) - ツバキ*さん» わわっ、二度目のコメントありがとうございます🙌私もそういって頂けて本当に嬉しいです💕基本、気が赴くままの更新ですけれどなるべく頑張って更新しますね💪応援ありがとうございます、頑張ります🙇💕 (6月2日 13時) (レス) id: 546937f9a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅわ。 | 作成日時:2023年4月26日 18時