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「いらっしゃいませー」と、やる気のない声に出迎えられ入るコンビニ。
この声には聞き覚えがあって、確か以前も着けられてると感じた時に確認してもらった人だ。彼も私に気が付いたのか、あ、という顔をした。
息を切らせて入ってきたのを見て、少し背を伸ばして外を伺う様子を見せた後口パクで「”またですか?”」と言っているような気がしたから頷く。
ドクン、ドクン、と心臓が苦しい。
走って暑くなるはずなのにヒヤッとしている。
「……様子見てみます」
「す、すみません」
入口付近に居るのは怖くて箒とチリトリを持って外へ出て行った店員さんと逆にコンビニの奥へと歩いた。
「あの、」
「ひゃっ」
「あ、ごめんなさい! ……あのそれで、やっぱり誰も居ないですね。お姉さんが来る前から停まってる車が二台あるくらいでした」
「そ、そうですか。すみません。勘違い、なのかも」
そうだったらいい。暗い道だし、疲れててちょっとした音でも気になるだけとかさ。そうだそうだ、きっとそう。
「落ち着くまで此処に居ても大丈夫っすから」
「……ありがとうございます」
そうさせてもらおう。
でもただ避難させてもらってるだけじゃ申し訳ないから、なにか買って帰ろうかな。明日の朝食に食パンでも買うか。そう言えばコーヒーを切らしてたんだっけ?
「Aちゃん」
「わっ! ……え? あ、べさん?」
買い物に夢中になっていて背後から近付く気配に気付かなかった。
ポン、と肩を叩かれてビクッと飛び上がって振り返れば、私を見下ろしていたのは眼鏡姿の阿部さん。
「やっぱりAちゃんだった。偶然だね。帰り?」
え、偶然…………
視線が泳ぐ。ごきゅ、と唾を飲み込んだ。
「はい。帰りです」
「こんな時間に一人なんて危ないね。やっぱりお仕事大変そう」
薄めのロングカーディガンがふわとして、牛乳パックを一つカゴに入れている。
家からふらっと出てきたくらいのラフな格好だ。
「ふ、不規則ですからね。き、今日は終電に間に合ってるだけ良い方です」
「そっか〜。身体壊さないでね。あ、そうだ!送って行こうか? ほら俺達ご近所さんみたいだし」
「…………」
「どうかした?」
今日のメッセージのやりとりで、確かに近所らしいことは分かったけど、このタイミングで合うものなのかな。阿部さんはアイドルだよ。仕事なら分かるけど、喫茶店だったりコンビニだったり偶然に…………
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ゆきんこ(プロフ) - オトノハさん» はじめまして。コメントありがとうございます!どストライクで安心しました😂 本人はこれが通常運転なのです(笑)ありがとうございます😌 (2023年1月5日 21時) (レス) id: 61a2c67a9c (このIDを非表示/違反報告)
オトノハ(プロフ) - ゆきんこさん» はじめまして。💚のお話しを読みたくて辿り着きました。ヤバめな思考(でも本人は至って普通だと疑わない)の💚さん!どストライクです"(ノ*>∀<)ノ今後のお話も期待してます! (2023年1月2日 0時) (レス) @page43 id: 9e00b47958 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ももさん» コメントありがとうございます😌 ヤバさありますよね😂 いつもすみませんの気持ちで書いてました💦 そうです。主人公一筋なので行き過ぎる😌きっと彼女とじゃなきゃ成立しない恋です😂番外編までありがとうございました! (2022年12月17日 8時) (レス) id: 61a2c67a9c (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ここの💚さん、時々まじヤバいって思ったけど主人公ちゃんのこと大事にしてくれてるし、彼女もちゃんと扱いがわかってきててにこにこしちゃいました。番外編までありがとうございます(^^)幸せそうなふたりが読めて嬉しい! (2022年12月16日 17時) (レス) id: 26cdd99df2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - miku mさん» コメントありがとうございます!喜んでもらえて良かったです😊 絶対に書くとは言いきれませんが、書きたいことがあったら書かもしれません😌 (2022年12月6日 8時) (レス) id: 61a2c67a9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2022年10月25日 19時