美しき人の名は太宰。【文スト】

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中也は、少し迷った様に目線を彷徨わせてから、照れたように微笑んで言った。


「…可愛い」


この世にこんなに素晴らしい言葉があっていいものだろうか。良い。きっと良いのだ。こんなにも今の私が幸せに包まれていたとしても。
好きな人に褒めてもらえるのはこんなにも素晴らしいことなんだね。

そう、私を幸せに突き落とした中也は帽子で顔を隠してしまった。勿体ないことだ。

出来ることならば、その整った顔でもう1回言って欲しいところだ。


「中也…其れは本当かい！？」


あまりの喜びのあまり中也を強く圧迫してしまった。まあそうなった所で中也の鍛え上げられた躰はビクともしないのだけれど。
もっと言うと私の腕の方が痛いくらいだ。


「嘘言ってどうすんだよ」


ああもう、と前髪を掻き上げた中也がくるりと私の方を向く。うん、今腕すごい痛かった。締め付けてたからね。うん。


「でも、嬉しい」


そう微笑むと再び帽子で顔を隠した中也。ちらりと見えた耳は紅く染まっていた。
反応が分かりやすくて実に良い。流石、私の中也だよ。


「おい手前、そんな可愛い恰好してるって事は変な男にでも声、掛けられたんじゃねぇだろうなぁ？？」


ご名答。チャラ男とショタとおじさまとその他諸々に口説かれたよ。等とは言わない。
明日も此方は仕事なのだ。足腰を使い物にならなくされるのは非常に困る。


「どちらかというと同性が多かったかなぁ。化粧品なに使ってるかとか凄い聞かれたよ」


嘘ではない。というか嘘なんて吐いた暁にはもう二度と外には出して貰えなくなることだろう。
そう。嘘ではないのだ。
グレーゾーンを生きる人間なのだ、私は。

今日も今日とて死にたいけど。
中也は死なせてくれない。


「…へぇ？」


納得していない様子の中也だが、結果的に言うと、言いくるめた。舌戦は私の得意分野であり、中也如きが勝てるものでは無いのだ。


ーー
匿名様、リクエストありがとうございました。
こんな感じで良かったでしょうか…？

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