アリス�� ページ2
「ねえ、ブラッド。何かあったの？」
(こんな事を言ってもこの人は何も話してはくれないだろうけど)
「クレイジーストームの頃を思い出すと非常に不愉快になるがね」
「あら、誰かの変化が気に入らなかったの？」
「……ああ。そうだな。思い出したくもない時間を思い出した上に、卵どもがずかずかと踏み込んできて非常に不愉快になった」
意外と具体的な答えが返ってきた。それだけ疲れているようだ。いつもの彼ならば今の言葉はなかったはずなのだから。ぐびぐびと紅茶を狂ったように飲んでいるのにもその疲れが見て取れる。気だるげな微笑みにも、どこか元気がない。
まああまり問い詰めないことにしよう。
「そうなの。まあ終わったからいいじゃない」
「本当にその通りだな。もう二度と来ないで欲しいものだ」
再び紅茶に口を付ける。それに合わせて、アリスも冷めないようにと紅茶を口に含んだ。
「あ、美味しい」
「だろう？ 終わったあとに飲もうと以前から大切に大切に保存しておいた品だ」
得意げに活き活きと語り始めるブラッド。まるで子供のようにきらきらとした、純粋な瞳を頬杖をついてぼーっ、と見つめる。
(いつもこんな風なら可愛げがあるのに)
それにしてもにんじん菓子がないお茶会は平和である。
＊＊＊
「アリスーっ！」
「げっ」
美しい青年の姿を見た瞬間、脱兎のごとく逃げ出そうとした。しかし、この白ウサギがそんなことを許すはずもなく。
「何処へ行くんですか？ 僕もお供しますよ！」
にっこりと笑いながら平然と併走するペーター。アリスは必死の形相だというのに。
「いいわよ！ ついてこないでいいから！」
「僕おとなしくしてます。いいウサギでいます。だから一緒にいさせてください！」
と、彼はいつものフォルム――人間の姿から、可愛らしいギンガムチェックの服を着た喋るウサギへと変貌した。
アリスの足に急ブレーキがかかり、立ち止まってふんぞり返るそのウサギへとふらふら引き寄せられる。そして、そのふかふかとした毛並みを堪能する。もちろん、ウサギを抱き上げて。ペーターが顔を摺り寄せてくるので、堪能しやすい。
「あ〜癒されるわ〜」
「そうでしょう？ 僕は可愛いウサギなんです。それと、あの、アリス。どこに行くつもりなんですか？」
「あ！ 呼ばれていたんだったわ。それにあんた、知らないでついてこようとしてたのね」
「勿論です。アリスが行くところならどこにでもついていけます」
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フェン - 麻酔薬さん» コメントありがとうございます。頑張ります！ (2018年9月2日 19時) (
レス) id: 5db073126a (このIDを非表示/違反報告)
麻酔薬(プロフ) - 続きが気になります、もう更新されないのでしょうか？ (2018年7月13日 22時) (レス) id: 0ff3dc7af0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェン | 作者ホームページ：@QuinPrince6
作成日時：2015年7月28日 10時
