しにたい少年【ヒロアカ】 (ページ8)

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荼毘ページ8

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「お前の個性にデメリットはないのか」

「……服が燃えること？」

珍しく荼毘から誘われたAは、荼毘と2人でスカウトに出ていた。
初対面で失礼をした中坊のことを荼毘はとっくの昔に許していたらしい。というか記憶に残すほどの出来事ではなかったようだ。

名目上はスカウトだが、荼毘のお眼鏡に適わなければ即消し炭。
Aは焼死体ばかり見ている気がする。

「他には？」

「他……強いて言うなら水に抵抗感があるかな。一応泳げるけど」

「個性を使うことで体に熱が籠るようなことは？」

「いや、元々炎そのものだし」

Aの返答に荼毘は考え込むように黙り込んでしまった。それに困るのはAだ。

(性格的な意味で)個性の濃いメンバーが集まる敵連合の中でもクールな荼毘が静かなことは今更だ。
Aも騒がしい方ではないため、嫌われていないと判明してからは荼毘の近くにいることが多い。そのためこういった沈黙には慣れている。

だけど、この流れで黙られてしまうとまるでAが不味ったみたいじゃない？
中学生はどうにかして会話をしようと話題を探す。

「荼毘さんの個性も炎だけど、ええっと……発動型？」

「まあ」

まあってなんだよ。

「青色の炎ってことは摂氏1000度を超えてるんだよね。僕もそこまであげられるかな」

無反応。

「最初から青い炎だったの？」

「いや」

「じゃあ努力してあげたんだ。コツってある？」

いつも以上に口数の少ない荼毘にAは内心冷や汗をかいていた。なんだかわからないけど順調にダメな方向に行っている気がする。
個性にコンプレックスでもあるのかと別の話題にシフトチェンジしたいが、なかなか難しい。

焦るAはさらに踏み込んだ質問をしてしまった。Aは恐る恐る荼毘の反応を待つ。

「そうだなァ……感情を昂らせてやりゃあいいんじゃねぇか」

「あっ答えてくれるんだ」

「は？」

「こっちの話です」

荼毘の地雷が分からない。Aは白旗を上げて降参の意を示したい気分だ。

個性の育て方を知っている風な荼毘に、Aは1つの仮説を立てる。
それは「以前個性を使用して大火傷を負った」んじゃないか、である。仮説と置きながら、正直ほとんど正解なのではないかとAは考える。

そうだとしたら。
荼毘もまた個性社会の被害者なのだろうと密かにAは思った。