しにたい少年【ヒロアカ】 (ページ14)

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マグネページ14

＊

マグネが死んだ。

下半身だけを遺されて瞬きの間に消えた命。Aは動くことができなかった。コンプレスの片腕が飛んでも、Aは血溜まりから目を逸らせなかった。

「A！手を貸してくれ、ミスターの血が止まらねェんだ！何事もないけどよ！」

「マグ姉、マグ姉……」

「なんでだ、個性が使えなか、グッ」

「今はいい！オイA！！」

オーバーホールたちが引き上げた仮拠点は混沌を極めていた。
マグネの遺体から目を逸らすトゥワイス。片腕を失ったコンプレス。マグネの愛称を呼び続けるトガ。何を考えているのか読めない死柄木。

何度目かのトゥワイスの呼び声でAは仮拠点を飛び出し、無人の民家から治療道具をかっぱらってきた。
無言で包帯をキツく巻いて圧迫止血をするAは、恐怖が頭を占めている。

そんな最年少にコンプレスはAが平和な一般人上がりであることを思い出した。
荼毘と出かけては焼死体を目にしているようなので、もうとっくに慣れていたと思っていたのだ(コンプレスとてマグネの死に何も思わない訳ではない)。

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コンプレスの血が止まり、頭を冷やしてくると出ていった死柄木を除いてこの場にいるのはトガ、コンプレス、トゥワイスそしてAとなった。

マグネと仲の良かったトガは強いショックを受け、未だに茫然としている。
それぞれが各々の気持ちと向き合う静かな空間を打ち破ったのはAだった。

「腕……弾けとんだから再接着はできないね」

「そ、うだな。ありゃあ一体なんの個性だ？触れただけで破裂したように見えたぜ」

コンプレスが『見えた』のはマグネの上半身だ。肩を揺らしたトガに、失言だったかとコンプレスは仮面の下で顔を歪める。

「すまないミスター……ごめんなァ、俺がアイツを連れてきたから……マグ姉だって、俺が」

いつも覇気のあるトゥワイスの見る影もない。
誰もがトゥワイスのせいではないと分かっていたが、果たしてそれを伝えて彼が楽になれるとは考えられなかったため、黙って懺悔を聞いていた。

それなら、僕だって。
炎体のAがマグネの前に飛び出せば相手を焼き殺すだけで丸く収まった。体が動けばコンプレスの腕はなくならなかった。機能が停止した頭から焼灼止血の存在がすっかり消えていたせいで、コンプレスは痛みに耐える時間が長かった。

彼女の死は彼らに多くの影を残した。