しにたい少年【ヒロアカ】 (ページ2)

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2話ページ2

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起床。朝食を食べる。支度をして登校する。授業を受ける。昼食を食べる。授業を受ける。部活をする。帰宅する。夕食を食べる。課題をする。風呂に入る。就寝。

この繰り返しに意味はあるのだろうか。

深みにハマっちゃったな。Aは茜色も沈みきった道を歩く。

Aには夢がない。クラスの大半が望むヒーローという職業にも、スポーツ選手にも、学校の先生にも、営業マンにも、販売員にもAは惹かれなかった。明日提出の宿題は白紙のままだ。
何にも憧れない自分はこのまま何にもなれないまま死ぬのだろうか。

それもいいかもしれないとAは思う。
このおかしな社会に気づかない(気づいていて目を背けているのかもしれない)大人たちが先導する世界で生きていける気がしない。気がしないというか、たぶん無理だ。

働き始めて絶望するよりも、今死んじゃったほうがきっと心は楽だ。
だってAには生きる理由がない。

Aの足は駅に向かっていた。すれ違うサラリーマンは、まさか中学生が今から死のうとしているだなんて夢にも思っていないだろう。

学校とは反対方面の電車に乗り込んで、空いている席に身体を滑り込ませた。出かける時は親の運転する車だからほとんど用がない路線だ。初めて見る景色だったが、Aは何も感じなかった。

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どれほど乗車していただろうか。足りるか心配しながらAは改札を出た。ICカードの残高はギリギリ3桁で、非日常に少しだけ鼓動が早くなる。

無人の駅を出て、右も左も知らない街をAは進む。木枯らしが吹く季節はぶるりとさせるが、個性の関係上Aには問題ない。
暗闇に満ちた世界は、いよいよAの異常性を顕にしてくれる。

辿り着いたのは廃墟ビル。テレビの中でしか見ないボロさを前にしても、Aは無感動だった。

無法地帯の廃墟ビルには鍵がかかっていた。仕方がないので個性を使ってガラスを溶かす。老朽化していたのか、弱火ですぐに開いてしまった。

Aは階段を上がって屋上に登る。当然エレベーターは動かなかった。かん、かん、かん。命のカウントダウンには軽すぎる足音だ。

かん、かん、かん。かん、かん、かん。かん、かん、かん。かん、かん、かん。かん、かん、かん。かん、かん、かん。

ようやく登りきった最後の扉には鍵がかかっていなかった。
右手でドアノブを回した先には、驚くことに先客がいた。