【歌い手】暗殺者の異端日 (ページ14)

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12　ムハンマドページ14

帰宅すると、96が寝ていた。そのまま起こさない様にしてＰＣの画面を開ける。
　メールが入っていて、開くとろん姉からだった。96も共に銀髪宇宙人を暗殺してもいいとの事だ。
　そういえばろん姉に96の事を話していたんだなと思い出す。

　調べてもどういう者かさえ分からない状況で朝を迎えた。
　俺も96も高校生。高校に行かなくてはならない。

　結局、下調べも何も出来ずに学校に行く事になった。

「おはよー、今日何か機嫌悪くない?」
「んーそう?まあ、徹夜したから」
「徹夜しちゃ駄目でしょ」
「気をつける」

　学校で仲の良いいかさんと話しながら鞄からあるものを取り出す。
　この人は、いかさんって名前で歌い手をしてる。この人がいるから歌い手に会っても中々驚かないんだけど。
　取り出したのは銀髪宇宙人の写真。

「この人知ってる?」
「……短髪の銀髪の女の子なら今日下駄箱で見付けたけど、それ以外はちょっと」
「銀色って中々いない感じだろ」
「そうだから言ったんだけど」

　これ、俺が変な事言ってしまったパターンだ……。
　ゴホンゴホンとわざとらしく咳をする。

「職員室にでも行くか」
「……?何で?」
「今までに銀髪がいたなら確実に目に付くはずなのにいなくて、今日見付けたから可能性としては転校生の可能性が高い」
「成る程」

　いかさんを強引に引き連れて職員室に行く。もしも銀髪宇宙人なら幸運だ。
　暗殺が楽になる。

「あ、いた」

　背後からそう聞こえた瞬間に、強い殺気がした。
　俺の首がなくなるような、そんな感覚も。

「危ない!!」

ぴゅ

　軽く葉の擦れた音が聞こえた。

　私はいかさんを引っ張って思い切り右後ろに下がる。だから大丈夫だった。
　俺といかさんどちらとも外傷がない。その事に安心して軽く息を吐き出す。

　音のする方向を見ると。

　勢い良く炎が燃え上がっていた。
　……こんな事が一瞬で、更に草一本で出来るはずがない。
　炎の中にあったものは単子葉植物の何かの葉っぱ一枚だけだった。

「あーらら♪仲間?を庇って燃えちゃう様なお馬鹿さんかと思っていたのにな～残念♪」
「……誰だ、貴様。名前を言え」
「あらら♪何処かのお堅い兵士みたい。我が名はムハンマド。イスラムの民を支えるもの」

　そう言って、ニヤリとムハンマドは笑った。
　……不気味に。