10 大切な依頼 ページ12
Aのいるマンションから約5分歩くと駅に辿り着く。
その駅の地下5階。地下鉄の走っている所の更に下。
紗那は駅の事務所にある関係者以外立入禁止のエレベーターに乗りそこに降り立った。
そこに広がるのは大きな広場のような部屋。家具は殆ど置いてなく、机と椅子が端に寄せられて積み上げられているだけだ。
移動しやすいので自然とエレベーターの近くに人は集まってくる。
その中で話しを皆が楽しんでいる中心にいる女性がAに気付いた。
「あら、Aじゃない。久しぶりね」
「ろん姉!久しぶりです!」
柔らかな藍色の髪を首の長さで切っている。整った顔立ちととても可愛らしい声。膝よりも少し長いワンピースを着ていて、男を必ず虜にする。
ろん姉は私の憧れであり、誇りでもあった。
「貴女に今回とても大切な依頼を頼みたいのだけれども大丈夫かしら?」
「はい。何なりと申して下さい!」
そういうとろん姉は今まで話していた所から抜け、Aの立っているエレベーター前に来た。
「…とても大切で重要な話しだから私とAとマスターだけの秘密なのよ。違う部屋に入らないといけない」
「分かりました」
二人は部屋から出て、小さな部屋に入る。
「あのね……ある化け物を倒して欲しいの」
「どんな生物でも何なりとお申しつけ下さい」
「……名前は、ないのよ」
そう言うと、スマホを取り出した。
そして、画像を見せて貰った。
銀色の腰の辺りまで伸びているとても綺麗な髪。高そうなゴスロリを着ている。
どうみても化け物ではなく人間だ。
「人間…ですよね?」
「違うのよ…。この生物は多分人間ではないわ」
Aにはろん姉の言っている意味が分からない。
「どういう事ですか?」
「彼女は、宇宙人よ」
「……へ?」
つまり他の星から来た生物と言う事か。それくらいはAには理解出来る。
「彼女を一年以内に殺す事が出来なければ、地球は破壊されるのよ」
「……どういう事ですか?意味が理解出来ません」
話しが突飛過ぎてAは付いていく事が出来ない。
「国会議員全員が一瞬のうちに殺される事件があったじゃない」
「ああ……!ありました」
今からちょうど一ヶ月前。
国会議員が一瞬で全員何物かに殺害された事件が起こった。
事件はお蔵入りとの事だった。
「彼女がやった事よ」
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作者名：たう | 作成日時：2014年12月29日 18時
