01 宴 ページ1
トントンとノックを二回する音が聞こえた。
私はぎしぎしと軋む椅子から立ち上がり、ドアを開けた。
「どちら様でしょうか」
「すみません。こちらが暗殺事務所ですよね?」
ドアを開いた所にいたのは、金髪の女性だった。
ピアスをはめていて、薄塗りだが化粧をしている。
女性にしては、身長が低い。
「はい。そうです」
「あのっ、依頼をしてもいいですか?」
そう言って差し出してきたのは束になった封筒。
大体10万円はあるだろう。
「はい、承わりました。……こんな所もなんなので部屋に入りませんか?」
「あ、はい」
彼女が履いていた靴は、ヒール。
それを脱ぐと彼女の背は俺の背よりも10センチ程度低くなる。
狭い玄関を抜け、リビングに入る。
此処は俺の家でもあり、事務所でもある。
「此処に座ってください」
「はい」
彼女に俺の向かい側にある椅子を指さした。
俺以外にメンバーはいない。自分自身で新しく此処に建てた事務所だ。
「誰をご依頼ですか?」
「私の彼氏です」
そういう彼女の手は小刻みに震えている。
そして目からはぽたぽたと涙がでてきているが、拭う様子はない。
「どうしてですか?」
「…両親をアイツに、アイツに…殺されたんだっ」
その顔は、憎悪に染まっていた。
ショックと苦しみに飲まれた顔は…とても美しかった。
しかし、人間とは馬鹿な生き物だ。
君は、思い違いをしてる。
君が憎いのは、殺した犯人ではなくて、救えなかった自分自身だろう。
―…君は俺が犯人を殺したとしても救われない。
「分かりました」
それでも俺が依頼をやめさせないのは、暗殺者にとっては普通の行動だ。
暗殺者は正確が悪い?当たり前だ。
俺は、人間が嫌いだからこの仕事をやっている。
…コイツが犯人を依頼し、俺が殺した後になって後悔と自責の念に押しつぶされる姿を見たい。
普通は、こうに決まっている。
「あ、ありがとうございます!」
依頼を受けてもらえて嬉しいのか、顔が明るくなった。
さあ、宴のスタートだ。
＊
夢主女ですよ!!
後、そんなに性格悪くはありませんよ!!
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作者名：たう | 作成日時：2014年12月29日 18時
