No.5 バンドメンバー ページ5
『センラさんってめっちゃ料理上手なんですね、おいしかったです。』
セ「ふふ、ありがとねぇー。素直に嬉しいわ」
カチャカチャと食器を洗っているセンラの横で、洗い終わった食器を拭いている。
ここのシェアハウスでは、毎日当番制で家事を行っているらしく、以前住んでいた人の
当番をそのまま私が引き継ぐことになった。
ふと、その時リビングにいたうらたはAのスマホから着信音が鳴っていることに
気付き、うらたはキッチンに顔を出す。
う「Aー、スマホ鳴ってるー。俺代わるから行っていいよ？」
『えっ、あ、ありがとうございます』
う「んー」
急いで手を洗ってリビングへと戻る。電話に出ると、聞きなれた声がした。
ま「あ、もしもしー？A？今、大丈夫？」
『あ、まふ？んー、どしたの？』
友達であり、それでいてバンドメンバーの１人であるまふまふ。ちょくちょく会っては遊んでいる。
ま「アルバイト先どうでした？楽しそう？」
『うん、楽しそう』
ま「そっかぁ、良かった！……あ、本題はね？」
はよ本題話せ、と思いながらも大人しく相手の声を聞く。
ま「明日、録音やるって連絡あったので知らせとかなきゃなーって！」
……は？え、まじで言ってるのか？
『……急すぎない？』
ま「ごめんね？伝えてないの忘れてて☆」
『おま…──』
ﾊｧ……とため息をつきながらも日時と場所を聞く。
『…ん、了解。明日の９時にいつもの駅に？』
ま「うん！あ、そらるさんも来ますからねー！！」
『そりゃメンバーなんだから来るよ……』
もう一人のバンドメンバー、そらるさん。私、まふ、そらるさん、の３人でバンドを組んでいる。
もともと３人は中学からの友達で、３人とも軽音部だった(そらるは先輩だったけど)。
バンドで成功することが夢だった私たちにとって、今は夢を叶えている途中なのだ。
ま「……A」
『…なに？』
ま「………えへへ、おやすみなさいっ」
『……あはは、なにそれ？……おやすみっ』
プツッと通話を終了して、急いでキッチンに戻るが終わってしまっていた。
『う、うらたさん……ごめんなさい、明日うらたさん当番ですよね？
私、代わりますよ。今日の分やります』
う「ダーメ、明日も俺がやる。別にいいよ、今回は特別な？」
『えぇ………でも…』
結局その日は、いいからいいから、と流されてしまった。
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作者名：utatanuki | 作成日時：2018年1月17日 18時
