No.1 始まり ページ1
4人の成人男性に、1人の女子大生……なかなかに珍しい組み合わせではあるが、
今、彼らはある家を目の前に立っている。
何故ここにいるのか、遡れば長い話になる。
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『浦島坂田船ってグループの臨時マネージャー?』
「うん、Aちゃん……だよね?興味無い?」
たまたま授業がかぶって、名前なんだっけ…くらいの方に、いきなり
そう言われた私は明らかに迷惑そうな顔をしたであろう。
だが、お構い無しにその子は話を続ける。
『……なんで私に?…てゆうか、浦島坂田船ってあのネットグループの?』
知らない訳では無いが、それほど詳しいわけでもない。
好きか嫌いか聞かれれば、嫌いなほど彼らのことを知らないくらいである。
「そそ。………うーん、一番口固そうだなって思って。それと、ノリは
彼らとピッタリだと思うんだよね、好きでしょ?楽しいことは。」
いやまぁ、楽しいことは好きだけども。理由おかしくないか?
テキトーか、この人。と思いながらも、速やかにお断りしようと口を
開きかける。
『悪いけど、興味無……──』
「アルバイト代」
『……え?』
─
「アルバイト代、弾むよ?」
ニコッと微笑む彼女。
……分かっている、こんなことに釣られるのが馬鹿らしいなんて。
それでも、なんだか悪くない気がした。
めんどくさいことは割と好き。
楽しいことはもっと好き。
……それに、アルバイト代を貰える。
『…………少しの間だけなら』
────────
……そして、現在に至る。
結局彼女は誰なのか分かっていないのだが、LINEは交換した。名前を聞けば、
「通りすがりの猫だよ」と答えられたので、それ以上聞くことはやめておいた。
隣にいる4人組の彼らが、きっと浦島坂田船なのだろうが、固まってしまう。
どうすれば…と思っていると、一番背が低い人が「なぁ」と声をかけてきた。
ビクッと反応してから相手の顔を見た。
『………あっ、え、はい?』
?「えっと、君が臨時のマネージャーさんってことで良い?」
「は、はいっ」
?「そう?…良かったぁ、リスナーかマネージャーか分かんなくてリスナーなら
俺死ぬとこだったわ……」
?「なぁうらさん、はよ中入ろ?…ふふ、ほらっ、君もおいで!!」
うらさんと呼ぶ人に誘われるように、私は家の中へとお邪魔した。
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作者名:utatanuki | 作成日時:2018年1月17日 18時