-真剣よりもいつも通りが好き- ページ2
蘭丸)…無理だろ。
いつもこんな無茶する性格で、仕事もジャンジャン入ってくる業界で引っ張りだこだろうし、出来る仕事は片っ端からやって、まともな休みなんてほとんどない。
カミュ)いつの日か、作曲中にそのまま死んでしまいそうだな。
藍)ちょっと縁起でもない事言わないでよ!
今回は、止められなかった僕達にも非はあるし。
Aが思う様に作曲できてなかったのは、知っていた。
それでも止められなかったのは、Aがいつになく真剣だったから。
いつも僕たちが見ているAは、作曲中でも良く笑う、楽しそうに作曲する、それが当たり前で。
その当たり前が消えて、仕事の顔をしていたAを僕たちは止められなかった。
藍)でもきっと、止めてたらAが作曲できなくて困ったかもしれない。
カミュ)そうだろうな。
仕事は仕事と割り切っているなら、尚のこと怒っただろう。
蘭丸)怒ってても、それに疲れて寝てくれりゃ良い。
そんな事を話していると、すぐにAの部屋に着いた。
中に入ると、床に散乱する楽譜、足の踏み場もない。
こんなになるまで真剣に仕事してたから、僕達も止められなかったんだけど。
藍)………踏んじゃって良いと思う?
蘭丸が床の楽譜を一枚手に取って見た。
蘭丸)ん、大丈夫だ。
音が動いてないし、ぼんやりしてる。
藍)そっか。
そのまま進んでAをベッドに寝かせた。
藍)おやすみ、A。
『むにゃ』と何か言ったAを眺めていると、ほっとする。
仕事のAではなく、いつものAが帰って来て日常が戻って来たような気がする。
蘭丸がこれまでに見せた事のないような慈愛に満ちた目をして、壊れ物を触るかのようにそっとAの頭を撫でた。
カミュ)黒崎がそんな表情をしているのを初めて見たな。
カミュは驚いた様子だ、それを隠す気もないのか目を見開いて言った。
蘭丸はふーっと息を吐きながら、顔を上げる。
蘭丸)るせぇ、何も知らねー伯爵様が余計な事に気付いてんじゃねーよ。
カミュ)………ふん。
いつもなら衝突しておかしくない挑発ともとれる発言をした蘭丸に、カミュは何の反応も示さず、何も言い返さなかった。
Aの前だからなのか、思うところがあるからなのか。
嶺二)いやいやいや、ここで喧嘩しないでよ!
せっかく寝てるのに起こしちゃだめだからね!!
藍)そういう意味じゃ嶺二が一番五月蠅いよね。
蘭丸)何よりも五月蠅いお前が一番黙れ。
*
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作者名:紫音 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/shionn/
作成日時:2022年2月23日 7時